2016年春季卒業式より、学部卒業生が着用するガウンが、男女共通で襟なしのものとなることが決まりました(従来は、女性は襟つき・男性は襟なし、修士・博士はジェンダー問わず襟なしでフード着用、となっていました)。
どなたもスムーズにキャップとガウン、フードを借りることができます。
今季貸し出し日程は2016年3月16日(水)、17日(木)の2日間です。貸し出しについては学内portalサイト等をご参照ください。
ktyuji: 2016年3月アーカイブ
国際基督教大学ジェンダー研究センター YoRAP (Young Research Action Program) 2016
クィア神学の課題と可能性
日時
2016年3月6日(日) 13:00~16:30(途中休憩あり)
場所
国際基督教大学 ダイアログハウス 国際会議室(建物2階、エレベーターあり)
登壇者
堀江有里(立命館大学ほか非常勤講師、日本基督教団牧師、信仰とセクシュアリティを考えるキリスト者の会(ECQA)代表)
工藤万里江(立教大学大学院キリスト教学研究科博士後期過程)
司会
佐々木裕子(CGS準研究員)
コーディネーター
井芹真紀子、佐々木裕子(CGS準研究員)
言語
日本語(英語通訳なし)
参加費
無料・予約不要
パトリック・S・チェンの『ラディカル・ラブ』(工藤万里江訳、2014)は、現在日本語で読むことの出来る数少ない「クィア神学」の入門書として、反響を呼んでいる。「この世界に存在するあらゆる境界線を消してしまうほどの極端な愛」を意味するという本書のタイトルにも表れているように、著者が「クィア理論」と「キリスト教神学」の接続点として繰り返し前景化するのは境界線の「消失」というテーマである。自らを自然で十全なものとして作り上げる異性愛規範 「内部」の亀裂やその不可避的な失敗を鮮やかに暴き出す初期のクィア理論において、確かに越境可能性や境界侵犯といった形象は、抵抗と攪乱の可能性を指し示す特権的な地位を与えられてきた。マイノリティに分析の眼差しを向け対象化するのではなく、「キリスト教神学」という、しばしば強制的異性愛体制と同性愛嫌悪の「根拠」とされてきた支配的な規範自体をクィアに読みかえてみせる本書は、ある意味では「伝統的」なクィア・リーディングの実践であると言うことができるかもしれない。
しかしその一方で、本書で提示されるあまりにもスムーズな「クィア」と「キリスト教神学」の接続――もしくはそれら2つの領域の間の「境界線の消去」――に、わたしたちは今一度注意を向ける必要があるだろう。本書は「キリスト教神学がその核心部分においてクィアな試みである」と述べるが、キリスト教神学の「核心」にクィアが位置づけられるとき、クィア理論の重要な要素であるはずの「周縁的な位置取り」と「中心への抵抗・批評」という側面が後退し、既存のキリスト教神学の全肯定へと横滑りする危険性はないだろうか。あるいは、そこで称揚される「クィア」とは何を意味しているのか。「境界線の消失」という一点に、「クィア」と「キリスト教神学」の交錯点が強調される/せざるをえない現代の社会構造や文化規範とは、どのようなものなのか。
社会学、レズビアン・スタディーズ、クィア神学をご専門とする堀江有里さん、『ラディカル・ラブ』の翻訳者で、キリスト教におけるセクシュアリティとジェンダーをご専門とする工藤万里江さんをお招きして、「クィア」と「キリスト教神学」の接続点に関する批判的な検討を通じて、「クィア神学」の可能性について論じていただく。
※YoRAPは、CGSで研究所助手を務める若手研究者がコーディネーターとなり、各人の関心や研究成果を活かした活動を企画運営・実施するアクションプログラムです。