2004年4月アーカイブ

 CGSとは、国際基督教大学(ICU)のジェンダー研究センター(Center for Gender Studies)の略称です。ジェンダー・セクシュアリティの研究に関心がある人たち全てに開かれた新しいコミュニケーションスペースとして、2004年4月に発足しました。

ICU教授 田中かず子【CGS News Letter001掲載】

 2004年4月、国際基督教大学(ICU)にジェンダー研究センター(CGS)が正式に発足することとなりました。
 当センターは、①アジアにおける女性学・男性学・ジェンダー研究のネットワーク作り ②欧米の情報受信・翻訳偏重から日本の情報を世界へ発信する拠点となること、そして ③社会科学や人文科学だけでなく、自然科学をも組み入れたジェンダー研究の発展をめざすという、3つの大きな目標を掲げています。

センター長:田中かず子

 ほんの少し前までは全く馴染みの無かった「ジェンダー」という言葉が、一般の人たちの間にも浸透してきた反面、最近ではマスメディアによって否定的なイメージが付与されつつあります。特に男女共同参画社会基本法の施行以後、「ジェンダー・フリー」は人間を中性化して日本人の美徳を破壊する悪しきイデオロギーである、との批判が投げかけられています。

 国際基督教大学(ICU)は、教養学部 アーツサイエンス学科という一学部一学科制の下で活動しています。学生はそれぞれの所属する学科の枠組みにとらわれずに、自由に研究・学習することができます。CGSにも、それぞれの学問分野から多様なジェンダーへの関心を持った教員が集まりました。所員それぞれの ①専攻・関心分野 ②研究・関心分野とジェンダーの接点&ひとことメッセージを掲載します。
 また、CGSの運営に携わる研究所助手、研究面に関わる研究員もご紹介します。

(2017.06.21更新)

ICU在学生:デイヴィッド・ジェフリース【CGS News Letter001掲載】

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アメリカ・マサチューセッツ州ウェルズリー大学教授でありフェミニスト政治学者であるキャサリン・ムーンさんが2003年12月18日、ICUにてジェンダーとナショナリズムの関係について講演を行った。私は講演の中で見た、韓国の米軍基地周辺の売春問題に関するドキュメンタリーに大きな衝撃を受けた。軍隊という構造的な抑圧が、地域社会の内部に結束のみならずどのように分断をもたらすのか。男であり、アフリカ系アメリカ人である私の立場はこの問題とどう関連づけられるのか。日本という外国で暮らしている自分は社会にどのような変化を与えることが出来るのか。私はこれからも「個人的なこと」を「政治的なこと」として考えていきたい。

ICU在学生:川坂和義【CGS News Letter001掲載】

 2003年12月19日に世界人権デー記念の人権セミナーの講師としてICUに上川あやさんがいらっしゃいました。上川さんはトランスジェンダーであることを自らカミングアウトして世田谷区議選に出馬し、当選なさった方です。トランスジェンダーとは、「心の性と体の性の食い違いに苦しむ状態」のことでWHO(世界保健機構)の分類にもある疾患名です。

ICU在学生:新田裕子【CGS News Letter001掲載】

 ICUのある三鷹市では、現在市民が集まり「三鷹市男女平等条例」の試案作りが行われている。2月の会議では、「ドメスティック・バイオレンスの定義と禁止条項の中に『男性から女性への暴力』という文言を明記すべきか否か」が論点となり、二つの意見が鋭く対立した。1つ目は男女間に限らず例えば同性愛者間の暴力も同様に抑止するため、条文中の「男性から女性へ」という文言を削除し、代わりに「親密な関係にあるもの」とすべきという先進的な意見。2つ目はこれに対し、実際の被害者の大部分を占める女性の保護を徹底するため、「男性から女性へ」と明記するべきという意見。確かに性的マイノリティも保護したい。しかし、「男性から女性へ」と明記しないことで、当初対象としていた男性から女性への暴力に対する抑止効果が弱まってしまう。ここに大きなジレンマがある。現在苦しんでいる女性を救うために性的マイノリティを切り捨てていいのか。一部の人権を守るためには他の人々の人権を軽視せざるを得ないのか。私はICUの学生として会議に参加しこの大きな問いにぶつかった。そして今も答えを模索し続けている。

語学科:日比谷潤子【CGS News Letter001掲載】

 「ジェンダー」は学問の今日的発展にとって重要な概念、分析の枠組であると認識されています。人文科学や社会科学やもとより、自然科学においても、新たな学問的理解の開拓には「ジェンダー」の視点からの考察が不可欠です。ICUではこれまでにも、ジェンダー関連のコースが複数開講されてきましたが、2005年度からのスタートに向けて現在準備を進めている「ジェンダー研究プログラム」では、複数の科目を有機的に関係づけ、一貫性と継続性のあるカリキュラムを提供することによって、ジェンダー・セクシュアリティについて学際的に学びたい学生の要望に応えることを目指します。

社会科学科: 大石奈々・国際関係学科: 田中かず子【CGS News Letter001掲載】

 ICUのCOEプロジェクトが掲げる「平和、安全、共生」という三つの概念は、互いに深く関連していますが、私たちはこれらを統合しうる「人間の安全保障」*という概念に注目し、「人間の安全保障とジェンダーに関する「知」の創造:アジアの視点から」をCGSのプロジェクトのコンセプトとします。

ICU在学生:清水雄大【CGS News Letter001掲載】

 昨年、性同一性障害(GID)による戸籍上の性別変更を可能とする特例法が成立、今年7月に施行される。GIDと診断された者のうち、①20歳以上 ②現に婚姻をしていない ③現に子がいない ④生殖腺またはその機能がない、などの要件を全て満たす者が性別変更が可能だとした。社会に無視されてきた当事者にとってこの法律が持つ意味は極めて大きい一方、子供を生んだという過去の事情で将来を縛る酷な規定であるなど問題は多い。現に全ての要件を満たす者は、希望者の4分の1程度に留まる見通しだ。また私たちは、GID当事者たちをそのような立場に追いやる、戸籍で性別を管理するという性差別的制度への批判的な視点を持つ必要がある。

ICU在学生 : 久保田裕之【CGS News Letter001掲載】

 日本におけるジェンダー研究と法学の溝を埋め、研究者と法律実務家の橋渡しになることを目指して2003年12月6日・7日、早稲田大学においてジェンダー法学会の創立集会と第一回シンポジウムが行われました。2日間にわたって多くの法曹実務家・法学者・社会学者の方々が参加し、大変な盛況のうちに幕を閉じました。2004年度から日本で新しくスタートする法科大学院における将来の法曹のジェンダー教育の問題、および女子差別撤廃条約などの国際条約をどのようにして国内の裁判に活用していくかという問題などについて、発表・報告に続き熱い議論が交わされ、まだ新しいジェンダー法学という実践の可能性を感じた2日間でした。

ICU在学生:清水雄大・久保田裕之【CGS News Letter001掲載】

 2004年1月、男女雇用機会均等法をめぐる女性労働訴訟として注目を集め、控訴審で係争中だった住友電工裁判の和解が発表された。これは同社に勤務する女性らによって、男女差別を行ってきた会社と国を相手取って争われた労働賃金訴訟である。大阪高裁の強い勧告で実現した今回の和解では、間接差別の存在を認め、①会社は原告に1人500万円を支払う ②原告を昇進させる ③国は差別是正のため積極的に調停を行っていくという画期的な内容であった。私たちはこの朗報に強く胸を打たれたが、その夜のニュースでの扱いの小ささに日本での男女平等への道のりは長いのだと思い知らされた。

人文科学科: 宮坂夏美【CGS News Letter001掲載】

 テレビドラマを見ると、それぞれの社会の成熟度が見える。例えば英米のテレビドラマからは、ジェンダー・ステレオタイプはほとんど姿を消したが、日本では依然偏った男女観が横行している。最近のドラマでも、人気俳優のセリフには時代劇かと思うようなジェンダー差別が埋め込まれており、視聴者の多くを占める若者への影響について危機感を感じた。日本のメディアは社会の中で最も女性の進出が遅れている世界だという。圧倒的男性社会で、ナルシスト的な男性論理によって、番組が量産されているのが日本の現状である。だがこれはテレビ業界が特殊なのではなく、日本社会に存在するジェンダー観の発露に過ぎない。だから私は、社会の成熟度の差を突きつけられた気がして、暗澹とした気分になるのである。

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 ☆のついているリンク先は2013年3月に更新しました。

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