来春PGSSスタートが正式決定

CGS運営委員・語学科 : 日比谷潤子
【CGS News Letter002掲載】

 ICUにおいて、ジェンダー・セクシュアリティ研究学際プログラム(PGSS)が2005年度春学期からスタートすることが正式に決定しました。本学ではこれまでも、リベラルアーツ大学としての特性を生かして、学問分野の垣根にとらわれず、様々な領域で培われた方法論・技術を駆使して問題の発見と分析に当たる学際研究プログラムに重点をおいてきました。PGSSは、既に設置されているアジア研究、アメリカ研究、日本研究に続く4つ目の学際プログラムとして発足します。その最大の特徴は、自然科学科を含む学内の六学科すべてが関わるところにあります。

 PGSSは、他の学際プログラム同様、基礎科目・専門科目・選択科目・卒業論文から構成されています。基礎科目では、まず多様な専攻分野におけるジェンダー・セクシュアリティ研究に必須な概念や方法論を習得し、その上で、異なる学科に設置された専門科目と選択科目とを、各人の関心と研究テーマに従って有機的に組み合わせて履修していくことができます。

 現在、あらゆる学問分野においてジェンダーの視点が必要とされ、またジェンダーを研究するためには学際的なアプローチが不可欠になっています。例えば、私は語学科で「移民コミュニティの言語」を主たる研究テーマとしています。現代は人口が激しく移動している時代です。移住は必然的に言語接触を引き起こします。21世紀の世界では、言語接触を一度も経験せずに一生を終える人は、きわめて珍しいといえるでしょう。二つ以上の異なる言語体系が個人、あるいは共同体の中で接触すると、体系同士が互いに影響を与え合い、言語変容が起こります。ニューヨークのプエルトリコ系の人々やニューカッスルの中国系の人々の言語使用パタンを考察し、変容の諸相をとらえるには、どうしてもジェンダーの視点が不可欠です。性・ジェンダー・セクシュアリティは、言語使用を含む日常生活の多様な局面に密接に関連しているからです。のみならず、今後ジェンダーの視点から言語の変容を分析していくためには、歴史・文化・メディア・経済・階級・身体など、人文科学・社会科学・自然科学を横断する幅広い知識と分析の技術が要求されていくでしょう。

 ICUジェンダー研究センターでは、新たに設置されるPGSSを通して、ジェンダー・セクシュアリティ研究を学際的に学びたい学生を、強力にサポートしていきます。

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