2005年国際ワークショップコーディネーター : 生駒夏美
【CGS News Letter003掲載】【ペーパー版と同一の文章を掲載】
ICUジェンダー研究センターはこの春オープン1周年を迎え、所員が20名、センターの運営に関わる学生30名の大所帯へと育ちました。この1年間のCGSの活動は多岐に渡るものでした。著名な講師を招いての定期的な講演会やカジュアルなランチ会を開催、11月25、26、27日の3日間には第一回国際ワークショップを開催し、「アジアにおける人間の安全保障とジェンダー」をテーマにアジア10カ国からの参加者たちが活発で刺激的な議論を行ないました。それぞれの文化的・歴史的事情によって安全が何であるかは少しずつ異なりますが、国による安全保障が軍事的に展開される中で女性にとっての安全という概念が失われてしまう共通性が明らかになりました。また国や言葉の違いを超えてジェンダー研究者の家族的なつながりを築くことができ、CGSにとって非常に価値のあるワークショップとなりました。今年6月に韓国のソウルで開かれる女性学の世界大会(WW05)では、このワークショップの結果を報告し、アカデミアと活動家の協働関係の可能性をさぐるパネルを提供します。
学内においては、4月からいよいよジェンダー・セクシュアリティ研究プログラム(PGSS)もスタートします。ICUでは4つ目の学際プログラムとして学内6学科すべてが関わり、セクシュアリティ理論を含めた多彩なコースを提供します。例えば、基礎科目として春学期に開講される「ジェンダー研究へのアプローチ」では、各学科から総勢15人の講師がオムニバス形式でそれぞれの学問分野からジェンダー研究の多彩な方向性を紹介することになっています。このジェンダー・セクシュアリティプログラムの発足により、ますます多くの学生がジェンダー研究に興味を持ってくれることを期待しています。
2005年度は、さらに多くの講演会が予定されている他、9月16、17、18日の3日間には第2回国際ワークショップが開催されます。今回は「表象のジェンダー」をテーマとして取り上げ、アジア10カ国から研究者や文学者、映画監督など多彩な顔ぶれを招いて議論や発表を行なう予定です。アジア各国の映像や文学作品に触れる機会を持ち、また観客参加型の演劇フォーラムやパフォーマンスなど、学生たちも積極的に参加できる形での開催を目指しています。これからもCGSでは多岐にわたる刺激的なイベントを多く企画し、ますますの発展を目指します。