報告:第2回CGS国際ワークショップ

国際ワークショップ2005コーディネーター: 生駒夏美【CGS NewsLetter 004掲載】

 去る9月16日から18日、まだ夏の暑さが残る中、CGS主催による第二回国際ワークショップがICU構内にて開催されました。今年のサブテーマは「アジアにおけるジェンダー表象」。日本全国からはもちろん、中国、韓国、フィリピン、タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム、インドからの参加者が集まり、活発な議論を繰り広げました。3日間の会期中、私たちはジェンダー表象をさまざまな角度から取り上げることをめざしました。各企画へ多くの学生が参加、アカデミックなディスカッションの他に、フォーラム・シアターという聴衆参加型演劇の試みや、映画監督を招いての上映会とトークなども行いました。特に3日目の「アジアン・フィルム・ショーケース」では、日本、ベトナム、韓国、中国から5作品を上映し、三鷹市をはじめとする近隣都市より一般の方にも多くご来場いただくことができました。この企画だけでも総集客数は200名を超えました。アカデミックなだけの、大学内部で閉ざされたワークショップにしたくないというCGSの方針が実を結んだものと、感謝しております。ご来場・ご協力くださった方々に厚く御礼申し上げます。

 発表からは、アジアにおける急激な経済発展がもたらした新旧価値観の相克が見えてきました。伝統的な宗教を基盤とする価値観と、物質主義的な享楽社会の価値観の狭間で、人々は揺れ動いています。日本におけるジェンダーフリー・バッシングもそんなゆれ戻しの一つと見ることができます。アジアの女性芸術家たちはそんな中で、よりフェアな表現を目指して活動をしており、そこから全く新しい価値観も育ちつつあります。歴史や文化の違いによって見えにくくなっていたそのような共通点が、このワークショップでははっきり浮かび上がってきました。

 アジアでのジェンダー研究者のネットワーク作りという面でも、このワークショップは大きな成果を挙げました。それぞれの国のジェンダー研究は、その国独自の問題を抱えております。それぞれ欧米との交流はあっても、アジア内での連携は非常に少なかったのが現状です。このワークショップでは、私たちが互いの文化事情をいかに知らないできたかを知ると共に、情報を分け合い助け合う可能性も見つけることができました。今後とも、参加してくださった方々との交流を続け、未来の協働関係を構築していきたいと考えております。また大学関係者のみならず、多くの方に興味を持ってご参加いただける企画を今後も考えていく所存です。どうぞご協力お願いいたします。

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