ICU学部生 : 金子活実
【CGS NewsLetter 004掲載】【ペーパー版と同一の文章を掲載】
2005年6月11・12日の2日間にわたって行われた日本女性学会年次大会の開会プログラムとして「フェミニズムと戦争―『銃後』から『前線』への女性の『進出』!?を踏まえて」と題したシンポジウムが横浜国立大学で開催された。
パネリストの佐藤文香さん、海妻径子さん、岡野八代さん、そしてコーディネーターの千田有紀さんは新進気鋭の若手研究者。会場には女性学会の会員を中心にさまざまな分野の参加者が集まり白熱した議論が展開された。シンポジウムでは、「戦争/軍事的行為の直接参与者」である女性をとりまく、その現状が報告された。かつて女性は「銃後」の存在であり、戦場に赴くのは『看護婦』や『従軍慰安婦』に限られていたが、近年女性は男性と「平等」に兵士として「前線」に「進出」するようになった。女性が国家による暴力機構の一翼を担うとはどういう意味合いを持つのか。考えずに避けて通れぬ課題である。
パネル報告後のディスカッションは、特に、ドメスティック・バイオレンスにおける警察の介入など、市民の安全を守るために必要な国家権力と、国家の安全保障のために発動される国家権力を、ジェンダーの視点からどのように考えるかに焦点があてられ、活発なディスカッションが行われた。参加者はそれぞれの立場から真摯な姿勢で発言し、暴力から被害者を守るためには、国家権力でも利用するという切実な声も聞かれた。目の前で起きている暴力に対抗するために利用する国家権力と、軍隊などの国家権力のあり方を問うことは異なるレベルの議論だが、そのどちらに対しても真剣に向き合っていく必要性を強く感じた。