講演会「燃え尽きない働き方」講演録Q&A

田中
 高山さん、どうもありがとうございました。ちょっと時間がおしてしまったので、あまり時間が取れないのですけれども、質問をお受けして、その後CGSで高山さんを囲みながらお話する機会を設けますので、お時間のある人は、少しCGSの方に来てください。それから、みなさんのファイルのなかに、アンケート用紙が入っていると思います。ぜひ、感想などを書いて頂けると、またいろいろと参考にさせて頂きたいと思います。

 今日は、非常に具体的に、どういう風にして、生き残るのか。どういう風にして、ストレスの少ない、人間関係を作るのか、ということでお話して頂きました。ほんとに、もう、沢山ありますので、全部消化する、全部具体的にわかるというところまでいくのは、なかなか難しいとは思います。でも実は、人権セミナーを12月に企画していまして、その時に、やはり、高山さんに、来て、お話をして頂くことになっています。その時にはまた、違うバージョンのお話をして頂こうと思いますので、それも、心に留めておいて下さい。それではなにか質問、今、質問がある、この場で聞きたいというもの、ことありますでしょうか?

学生1
 途中から入ってしまったので、聞き逃してしまったんですけども、【2.カウンセラーが使うリスニング(傾聴)・スキルを生活に生かす】の「5情報を与えることとアドバイスの違い」というところを、ちょっと詳しくうかがってみたいかなと。

高山
 はい、アドバイスをするということは、自分は、相手がそのアドバイスを聞いて、どんな結果、悪い結果でもいい結果でも、自分も責任が負えると思ったときはアドバイスをしてもいい。だけどそういう風に自分はちょっと悪い方に転んだら責任を負えないかもしれないと思ったときは、情報を提供するという、選択肢を与えるという風な姿勢で、言葉をかけたほうがいい。それはどういう風に違うかというとね...... 例えば、会社とかだったら、友達が上司とのやりとりに困っている。そしたら「今度その上司に、こういう風に、提案してみたら?」と言って、彼が提案しました、そしたら上司がもっと怒っちゃった。となったら、責任取れないよね。

 だから「してみたら?」という提案、アドバイスというのは、自分が責任取れないのであればしないほうがいいです。でもそれもね、情報として与えるというのだったら、「実は僕ねー、同じような経験があってねー、僕のときはこうやったんだよねー。そしたらこういう風にうまくいったんだけど、まあこういう方法もあるかもしれないけどどう思う?」とかさ、そういう風に情報を提供するっていうこと。やってみろではなくて、やったほうがいいとか、こうしたらいい、絶対大丈夫とか、そういうコミュニケーションではなくて、必ず選択肢として提示するということね。

学生2
 最後に「サバイブすることと自分らしく生きることは違う」、っていうことをおっしゃってましたけど、この場合、高山先生の文脈でおっしゃっていたようなどのような例がサバイブすることで、どのようなかたちが自分らしくということになるんでしょうか。

高山
 例えば、セクハラのケース。私のところにくるクライアントはセクハラのケースで来る場合ではないこともあるけど、ほんとだったら自分らしくいるためには、「もう止めてください」と言いたいの。でも「(「止めてください」と)言ったら、得意先をもう紹介しないよ」と言われてしまう。得意先を紹介してもらってその得意先に行くと歩合制だからお金がよくなるの。でもその歩合がよくないと、最低賃金ではないけど基本給がすごく低いから生活が難しかったりする。自分らしくあるためには「やめてください!」と言いたい。でもサバイブするためには「ちょっと困ります」とか、なんかはっきり言えない、(困った顔で身をひきながら)「そうですね~」だとか。サバイブすることと、自分らしくするということが、ぶつかるときがある。どっちとろう?「どっちとってもいい」と私はよくクライアントに言うの。サバイブして、サバイブするために「NO」と言えなかった人を責められないですよ。だってサバイブしたのだから。私にはその人の代わりにその人の人生を生きられないから。だからその人の選択を責めることはできない。サバイブするほうをとっても自分らしくいきることを選んでもその人が納得できるならどちらでも構わない。どっちが正しいということはない。ただ、往々にして、サバイブするために自分らしくあることをやめたり、NOと言わなかったりしたことを責める傾向があるということ。でもそれを責められたからといって自分を責めなくてもいいよということ。

学生3
 聞くことと伝えることというようなことで、コミュニケーションが成り立っている上でのお話をしていたと思うんですけれども、例えばコミュニケーション自体を、塞いでしまっている人に対しては、高山さんはどのような対応を取られているんですか。

高山
 はい。そのコミュニケーションを閉ざしているというのはどういう状況? 例えば。

学生3
 なんか、話しかけたとしても「なんか今はちょっと話したくない」とか、どう考えてるのかっていうのを知りたくても、それを伝えてくれないというような、場合は、どのようにすればいいんでしょうか。

高山
 なるほどね、それは、それこそ尊重するということなの。相手のペースを尊重するということ。確かに心配だからもっと知りたいよね。もっとコミュニケーションを図って、もっと情報を得たい、こっちも。だけど、相手がね、話すことで傷つくこともいっぱいあります。話すことですごく自分が、違っちゃうような気がして、話せないようなこともある。そういうときは、ひたすら待つ。私はよく、カウンセリングとか相談をやっている人たちに言うのは「沈黙はあっていいよ」ということ。「沈黙があると怖い」という人も結構いるけど、「沈黙はいいですよ、沈黙はカウンセラーとか相談を聞く・話を聞く側の味方だよ」と。どうしてかというとね、沈黙はだいたい40秒くらいしか保てない、普通は。例えば今日ここでずっと黙って40秒ずっといると、みんなだんだん不快になるから。そうすると、話し手のほうが話したくなるの。相手のペースに合わせたほうが、聞き手も楽です。こちらが聞いてあげなければ、もっと聞きたいとなってしまうほうがストレスになる。葛藤になる。だから話したくないのであれば、無理をして話さなくていい。話さないという選択があっていい。そういうお友達や同僚がいる場合、自分がなにかその人にために、一緒に共感したいと思っても、まず「もしね、話したくないのだったら話さなくていいよ」と一言言ってから「“自分が”、実はあなたのことを心配に思っているのだけど、どうかなぁと思って今日食事に誘ってみた」と言ってもていい。そしたら彼女には、話すか話さないかという選択肢が与えられるよね。それで話さないという選択がOKと言われているから安心なの。それもコミュニケーションだよ。話さないからコミュニケーションではないということではない、話さなくても、それもコミュニケーション。

田中
 それでは時間になりましたので、今回の高山さんのお話はこれで終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。

(会場拍手)


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