「平和を創る女性パワー つなげよう!世界の女性のイニシアティブ」9条世界会議から

WILPF(婦人国際平和自由連盟)国際副会長:秋林こずえ
【CGS Newsletter010掲載記事】【ペーパー版と同一の文章を掲載】

日本国憲法第9条を世界に広げようと「9条世界会議」が5月4日~6日、幕張メッセなどの会場で開催された。
4日の全体会では、マイレッド・マグワイア氏(北アイルランド、ノーベル平和賞受賞者)らによる挨拶やライブなどが行われた。
5日はシンポジウムやワークショップなどが開催された。その中の一つが「平和を創る女性パワー つなげよう!世界の女性のイニシアティブ」である。世界各地から参加した6人のパネリストたちが、女性たちによる平和創造の試みを紹介し、提言を行った。私は司会をしたのだが、以下にシンポジウムの様子を紹介したい。

冒頭にフロアからコーラ・ワイス氏(米国、ハーグ平和アピール)が「女性・平和・安全保障」をテーマとした国連安全保障理事会決議1325号(2000年)を紹介し、決議の実行を強く訴えた。
アン・ライト氏は、30年近く米国陸軍で勤務した元将校であり元外交官だが、2003年のイラク戦争に抗議して職を辞している。近年取り組んでいる米兵による性暴力の問題について、戦場での経験によるPTSDなどが基地周辺に住む女性たちや女性兵士に暴力となって向けられていると述べた。
エレン・ウッズワース氏は、元バンクーバー市議でWILPFカナダ支部長でもある。バンクーバー世界平和フォーラム(2006年)での女性たちの経験も踏まえ、平和運動が、貧困、女性に対する暴力、住宅問題など社会的ニーズへの支出を増やす運動と連携し、裾野を広げていく必要を訴えた。
ケニアから参加したフローレンス・ンパイエ氏(ナイロビ平和イニシアチブ)は、最近起こった大統領選挙後の紛争や、アフリカ諸国における女性の社会的地位の低さと紛争が女性たちに与える影響について語り、さらにケニアでの平和構築において、女性たちが政府レベルの和平交渉から草の根レベルまで、様々な形で介入している例を紹介した。
チョン・キョンラン氏(韓国)は、北東アジア・朝鮮半島の平和や非核化を目指す女性たちによる「平和をつくる女性の会」の活動やネットワークを紹介した。
沖縄、「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」の高里氏は、沖縄に長期駐留している米軍による性暴力の問題とその解決に取り組んできた沖縄の女性の運動について述べ、さらに9条と両性の平等に関する24条の実現によって、全ての人々の安全で平等な生活を訴えた。
VAWW-NET Japan、女たちの戦争と平和資料館の西野瑠美子氏は、「従軍慰安婦」問題の解決は9条が求めるところ、と述べた。
新日本婦人の会の高田公子氏は、日本の女性による草の根の運動が日本国憲法を守ってきたことを述べた。
シンポジウムには800人余りが参加し、用意した配布資料が足りなくなるほどであった。フロアからも多岐にわたる質問が出された。それらをまとめるのは困難だが、このような女性のイニシアティブを発展させるためにもジェンダー平等を学ぶセクシュアリティ教育が必要では、という質問が出たことを記しておきたい。
主催者によるシンポジウム報告は
http://www.whynot9.jp/sb/log/eid50.html
で、また、パネリストの発言はアジア女性資料センター
http://ajwrc.org/jp/
のFrom AJWRCのページに掲載されている。

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