【報告】第1回自己尊重・コミュニケーショントレーニング

program%20081018.jpg第1回自己尊重・コミュニケーショントレーニング

日時:2008年10月18日(土)14時~16時
場所:国際基督教大学教育研究棟347号室
講師:高山直子さん(サポートハウス じょむ)
報告:川口遼

当日配布された資料は、以下のリンクからダウンロードできます。
10月18日プログラム
他人から見た自分の印象
短所を長所に

10月18日(土)、自己尊重・コミュニケーショントレーニングの第1回目が開催されました。このワークショップでは、参加者のみなさんが自己や他者を尊重するコミュニケーション方法を実践的に学びます。講師はカウンセラーの高山直子さん。普段は「サポートハウス じょむ」というNPOで働く女性や暴力の被害にあった女性をサポートしている経験豊かな専門家です。

開場時間の13時半を過ぎるとだんだんと集まり出した参加者の皆さん。第1回目ということもあってか少し緊張気味。みなさん、静かに席にすわってワークショップがはじまるのを待っていらっしゃいましたが、講師の高山さんが登場すると雰囲気が一変!元気でおおらかな高山さんの性格のおかげが会場もなんだかおだやかになりました。
挨拶もそこそこに早速、ワークショップがはじまります。今回のテーマは「私の短所を長所に!」。自分の短所と長所を理解して、短所を長所と捉えなおす思考パターンの転換方法を身につけることが目的です。

まず、はじめに全員で取り組んだのが「他己紹介」。2人1組になって、お互いを2分ずつインタビュー。その内容をもとに他の参加者の方々に自分のパートナーを紹介するというものです。このとき、ポイントなのがパートナーを形容する枕詞をつけること。例えば「穏やかで落ち着いた雰囲気の○○さん」、「意志の強そうな目をした○○さん」というようにまずはパートナーを自分なりの言葉で紹介します。その後、1人1分以内にパートナーの人となりを説明します。どこで生まれたのか、どこに住んでいるのか、仕事は?趣味は?家族は?たった1分と短い時間ですがいろんな情報が参加者のみなさんから紹介されました。参加者のみなさんも他の方の発表を真剣に聞いてらっしゃったのが印象的でした。
参加者の皆さんからは、他己紹介は自己紹介よりもポジティブ、自己紹介では言わないようなことが他己紹介では紹介されるという意見が出ました。高山さんによるとその理由は初対面だから。人は初めて会ったばかりの相手の場合、なるべくよいところを見ようとします。適度な距離感をもって、相手に踏み込み過ぎないように気をつけること。高山さんはこれが「尊重」ということだと強調されていました。こういった安心があってはじめて信頼関係が成り立つとのことでした。ここから「自己」を「尊重」するということは、自分を信頼すること、大切にすることだとわかります。

 次に取り組んだのがワークシート(配布資料2枚目)をつかった短所と長所についてのワークショップ。まず、3人1組のグループに分かれた後、1人のファシリテーター(進行役)を決めます。このファシリテーターの進行にそって、1人ずつグループのメンバーに自分の短所を説明します。制限時間の2分以内に最低1個の短所を説明してワークシートに書き込みます。その後、この短所を他のメンバーが長所として置き換えていきます。そして、その中からいくつかを全員でシェアしました。秀逸だったのは「気が短い、おっちょこちょい」というのを「瞬発力がある」と捉えなおしたグループ。ここで興味深かったのは、短所として共通のものがあげられていたこと。例えば「まじめすぎる」ことを短所としてあげた方が何人かいらっしゃったことで、それは短所というよりもむしろ自分たちが大切にしている価値観なのでは、といった意見が出ました。また、反対に同じ言葉でも内容が違ったり捉え方が違ったりすることから、自分が短所だと思っているものを違う風に捉えなおす可能性も感じられました。
 このように自分が短所だと思っている事柄を日常的に置き換えていけば随分気持が楽になります。もしかしたら短所だと思い込んでいるだけで自分にとっては必要なものだったりすることがあります。また、気分が楽になれば自分の短所も受け止めやすくなります。高山さんいわく短所は心のクセのようなもの。そのクセを意識化してみるのにこのワークは役立ちそうです。

 最後のワークは全員一緒に取り組みました。まず、ワークシート(配布資料3枚目)を各自セロハンテープで背中にはります。そして、今回のワークショップを通じて他の参加者に感じたことをその本人の背中に貼られた紙に書き込んでいくのです。これまでの2つのワークを通じて参加者同士、尊重しあう雰囲気が出来上がっていたので、このワークは大盛り上がりでした。参加者のみなさんは蛍光ペン片手に会場をぐるぐる。次々と他の参加者のみなさんの紙にコメントを寄せていました。そして、最後に書き込まれたコメントをそれぞれ発表しました。コメントはどれもポジティブなものでみなさん、少し照れくさそう。しかし、高山さんによるとはじめて会った人が抱いた第一印象にはウソは一切なく確かにその人の一部分。
なかなか自分のことをよく思えないこともありますが、他人も自分も尊重することを覚えれば普段の生活やコミュニケーションが随分、楽になるなと感じた一日でした。

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