【報告】第2回自己尊重・コミュニケーショントレーニング

program%20081024.jpg第2回自己尊重・コミュニケーショントレーニング

日時:2008年10月24日(金)19時~21時
場所:国際基督教大学教育研究棟347号室
講師:高山直子さん(サポートハウス じょむ)
報告:石渡香奈子

当日配布された資料は、以下のリンクからダウンロードできます。
10月24日プログラム
Self-talk sheet
Type A Test
Feeling Stress Worksheet
Nurturing Self List

第2回WSのテーマは「ストレスに対処する」。このWSを経ればストレスがなくなるということではなく、どうしたらストレスを減らし自分を癒せるか、ということを学ぶ。社会、自然、環境、他人は簡単には変わらない。変えられるのは自分だけ。自分の行動パターンを知り、ストレスを減らすように変えていく方法を身に付けることがポイント。
7割程度が初参加であったが、高山さんからのテーマについての説明や、特別に休憩時間は取らないのでトイレや飲食を自由に!などのアナウンスでリラックスした雰囲気が作られた。また開始前に名札シールに今日呼んで欲しい名前(本名、ニックネームなど何でも可)を書き、回してもらったが、参加者同士がお互いに書き方を教え合う様子も見られた。

1.アイスブレーク:ストレスを体のどこで感じるか?
最初のワークで参加者は、ストレスを受けている時に心身がどのような状態になるかをシートに書き、発表した。最初から積極的な発言が続いたことに驚いたが、非常に意欲的な姿勢、意識の高さが伝わってきた。発表では、胃痛、腹痛に始まり頭から足先まで様々な箇所に様々な症状が出ることが分かる。
自分でも気づかないうちにストレスを感じていることもある。ストレスは、様々な形で心身に作用し、異変をもたらす。逆に感じなくなってしまうこともあるが、感じないことで自分を守ろうとするのは実は危険な段階である。ストレスがいかに心身に作用を及ぼしているか、シートに書いたことを忘れないように、とのアドバイスがあった。

2.タイプAテスト
 次に、「自分が几帳面だと思うか」「緊張しやすい方だと思うか」などの25の質問にYes/Noで答えるタイプAテストが行われた。欧米で、狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患が発生した患者の、疾患発生前の行動に一定のパターンが発見され、それを元にこのテストが作られた。Yesが多い「タイプA」は、Yesが少ない「タイプB」に比べてそれらの疾患の発生率が数倍にもなると言われている。ワークに取り掛かると、それまでの活発な発言の様子から一変し静まり返って真剣に各項目にチェックをされる姿が見られた。
これは「認知」のためのテストである。知識を意識に変えて行動にしていくことが必要だが、その第一歩となるのがこの自分の行動パターンを知るテストだ。ストレスと疾患には強い関係があると言われる。しかし、タイプAだから悪い、ということではない。自分の行動パターンを知ること、そこからストレスが発生しているかもしれないと考えてみることが重要だという言葉は、心強いものであった。自分を否定するために自分の行動パターンを知るのではない。自分を癒すために、自分を見つめるのだ。
ワークではその後、タイプAの特徴的な行動パターン7つを挙げ 、どのように行動を変えたらストレスが減るかを全員で考えた。再び活発な雰囲気となり、「意識して休んでみる」「ゆっくり行動する」「負けることを自分に許す」など、非常に鋭い指摘がなされた。
「電車で他の乗客のマナーにストレスを感じたら、自分が車両を変えればよい」。「一人になる時間を持つことも大切。帰宅後ゆっくりと自分の部屋で着替えてみる、トイレに籠もってもいい」。高山さんが具体的なシチュエーションを例示してくれたことは、自分の行動を変えて自分を癒すとはどういうことなのかを理解する大きな助けになった。

3.自分を癒す
 3つ目のワークでは、自分を癒す方法を見つけるべく、「音楽を聴く」「気持のいいお風呂に入る」など200の項目の中で、「自分がこれでストレスを軽減できた」ものに◎を、「やってみたい」ものに★を付ける。マークを付け終えた参加者からペアになりお勧めの方法を共有した後、全体でディスカッションをした。
同じ方法でも、ストレスに感じる人もいれば、自分を癒すと感じる人もいる。それぞれが自分に合った方法を実行すればよいし、やってみて気持が悪ければすぐやめればいい。大事なのは、ただやるのではなく「これをやったら本当に癒される」と思いながらやること。人間はストレスの多い社会で、ストレスと付き合いながら生きているが、その方法:コーピングスキルを、意識を持って実行してほしい。これが大きな効果を生む。こうして“自分を癒すことリスト”が出来上がり、実行に移す準備が整っていった。

4.セルフトークでストレスに対処する
最後に、自分を元気にする言葉やフレーズを書き出すワークを行なった。不安が抑えられない時、そのフレーズを声に出してみる。声に出すことで、意識が行動に変わる。参加者が円状に座る中心に高山さんが立ち、一人一人の名前が呼ばれ、フレーズを発表していく。最後に全員が各自のフレーズを一斉に声に出し、ワークショップは終了した。

印象深い話がたくさんあった。例えば、ストレスはうつ症状を招くこともあるが、うつは風邪ぐらいだと思った方がよいということ。人は一生の間に何度も風邪を引く。絶対に引かないようするのは難しいが、手洗いやうがいで防ぎながらうまく付き合っている。うつもそれと同じだという。それから、聞いた事の30%、見た事の50%、やった事の80%が身に付くというお話では、行動、実行することがいかに重要か考えさせられた。また、高山さんが参加者の発表に頷き、相槌を打つことで、話者は受け入れられ、話していることが間違いではないという安心感を持てているように思えた。話者に安心してもらえる聞き方を私も学びたい。ストレスはゼロにはならない。でも自分を優しく癒してあげる良い口実ができたと思えれば、うまく付き合っていけるかもしれない。

<板書内容>

【タイプAの行動パターン】
①いつも時間に追われていて切迫感がある     
②歩き方、話し方、食事、入浴などの行動が早い  
③競争心が強い                 
④強い意思表示
⑤帰属意識が強い
⑥理想、責任感が強い
⑦完全主義、完璧主義

【ストレスと上手く付き合っていく「ポイント」】
・自分に気持ちのよいことをする   
・質の良い睡眠を摂る        
・ビタミンC
・ゆっくり風呂に入る
・大きな声を出す

【うつ症状】
・理由なくイライラ         
・人と会うのがおっくう       
・仕事や趣味に興味がなくなった   
・何か一つのこと(考え)にこだわる 
・睡眠に障害  *社会活動に支障をきたす→病院に行って!
・食欲に極端な変化
・体がだるい
・感覚がマヒした感じ
・頭が重い、頭痛が頻繁

【(セロトニンを)増やす方法[セロトニンは安心感やストレス低減に大きく関係]】
・首を回す
・ウォーキングなど一定のリズムを15分以上続ける
・ホットミルクw/ハニー
・太陽のひかり(実際に太陽が出ていなくもイメージするだけで効果がある)

【心が疲れているサイン】
・感じなくなった          
・ネガティブ思考          
・(何かを)したいという気持ちが薄れる
・自分だけの時間がない

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