昨年12月、当ジェンダー研究センター(以下CGS)が主催するクリスマス・パーティの当日、ドラァグの衣装で参加しようとした方々に対し、CGSスタッフがそれをやめるよう求めたという出来事が起こりました。ジェンダーマイノリティやセクシュアルマイノリティに対する差別を自分の問題として取り組んできていたにもかかわらず、「身内」としての甘えの気持ちが芽生え、いつの間にか感覚が麻痺していたのです。今回の件で、被害に遭われた方々、関係者の皆様を深く傷つけましたこと、大変申し訳なくお詫び申し上げます。
CGSではこの一件を組織全体の問題として重く受け止め、二度とこのようなことを起こさぬよう、あらゆる努力を惜しまない所存です。ここにその決意の表明として、お詫びの文章を掲載することと致しました。
CGSはご存じのとおり、ジェンダーやセクシュアリティに関心のある人たちのためのコミュニケーションスペースとして出発し、キャンパス内外の人たちにオープンなスペースとして運営してきました。CGSスタッフは、全員がジェンダー・セクシュアリティ研究を専攻しているわけではありませんが、CGSの活動を通して学ぼうという意志を持って集まってきております。今回の出来事を深く反省し、この反省から
しっかり学び、よりよい場所としてのCGSを皆様と共に作ってまいりたいと考えております。
そのような学び合いの場としてのCGSを今後ともお育てくださいますよう、また温かく厳しいご指導を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
以下、お詫びの文章を転載いたします。
「2008年12月22日、当ジェンダー研究センターのクリスマスパーテイーにて発生いたしました不当なドラァグ排除の件につきまして、ここに謹んで深謝の意を表します。
私どもジェンダー研究センターは、自らが主催する公的なパーティーにおいて、ドラァグの衣装とメイクでの参加を取りやめるように強要し、パーティーの場からドラァグを強制的に排除するという弾圧を行いました。これはCGSによる、「存在してよい人間」の恣意的な選別でした。CGSは、ジェンダー・セクシュアリティに関する人権侵害をなくすべく努力する存在であるにも拘らず、そのCGSが、既存のジェンダー・セクシュアリティ規範に違反するという理由で、選別・排除を行った点で、非常に重大な問題と認識しております。
加えて、このことは、CGS利用者を「身内」として扱い、CGSがその行動を抑制することを依頼できる存在として捉えていたから起きたことでした。しかし、そのような抑制は、意識されてこそいなかったとはいえ、日頃のセンターの主張と異なり、ドラァグ等を「他者」として、公式な場にふさわしくない者・排除すべき者として考えていたという前提もあったように思います。だからこそ、隠蔽されるべきものとして、容
易にドラァグを遠慮してもらうことを要求してしまったのでした。CGSは、「身内」扱いと「他者」扱いを恣意的に使い分けておりました。
CGSは様々なフォビアと闘うことを使命と感じ、これまでも努力を続けてきたつもりでおりましたが、今回このような形で私どもの至らなさにより、皆様に並々ならぬ苦痛を与えてしまいましたことを大変恥ずかしく、心よりお詫び申し上げます。
現在、私どもはこの反省にたち、センターを挙げて、具体的な再発防止策を検討しております。
本来ならば、もっと早くにこのようなご報告と私どもの謝罪の意を表明すべきでしたが、スタッフの話し合いに時間がかかり、事態の発生から一月以上ものお時間を頂いてしまいましたことを深くお詫び申し上げます。」
CGS一同