ICU学部:酒井美智子
【CGS Newsletter011掲載記事】【ペーパー版と同一の文章を掲載】
2007年12月に娘を出産した私は、ICUにおける託児所実現への期待を胸に出産後の4月から復学予定でしたが、託児施設はできず、その予定を断念せざるを得ませんでした。大学に通いながらでも子育てができるなどというのが安易な考えであった、という批判がありうるかもしれません。そのことは、誰より、今私が体感しています。しかし私は、娘に出逢えた事に本当に喜びを感じています。あの時だったからこそ他の誰でもない娘に出逢えたわけで、迷わず産んで良かったと心から思っています。
そしてやはり、私はICUを卒業したい。私は、大学院と家事を両立する母の姿を見て育ちました。鍵っ子は淋しくもありましたが、夢を貫いている母が誇りでした。そんな母の姿と自分を重ね、家庭と夢を両立できると強く思ったのです。しかし、現実は甘くはありませんでした。通学のため託児所に娘を預けると多大な費用がかかり、その費用を稼ぐため働かなくてはならず、結局大学へ通う時間はなくなってしまいました。託児所に預けても問題が山積みです。働くとすぐに母乳は止まってしまいました。子供が熱を出すと迎えに行ったり休ませたりしなくてはなりません。託児所に入ってすぐの頃は実によく熱を出し、はやり目で一週間外出禁止になった事もありました。そんな調子なので欠勤も度重なり、お金は貯まりません。転職し、託児所の規定の日数をオーバーした時には職場に連れて面倒を見たりしながら、なんとか生活している状態です。そうして休学している間に、用意していた学費は休学費用へと消えてしまいました。
後悔先に立たずといえども、ICUに託児施設がありさえすれば……と悔しくも思うのです。託児施設があれば、育児中の人たちにも学びの機会が広がります。学生だけではなく、教員や事務を希望する人たちにとっても機会の拡大となります。機会の拡大は、少子化の中でも重要な役割を果たすでしょう。このことは単に子をもつ者にとって望ましいだけでなく、優秀な学生や教員のより幅広い獲得にもつながり、ICU内全体のレベルの向上にもつながります。また、育児は人を何倍にも成長させます。そんな育児真只中の人たちと接する機会を得ることで、他の在校生・職員もまた大きく成長し人間としての深みを増すことでしょう。
ICUに強く望むことは、ただ託児所を作るだけではなく、利用料の低価格化、病時中にも対応できること、授乳室の設置など、より現実に即した、実用的なものにしてほしいということです。施設さえ作ればよい、というものではありません。先に述べたように、子どもはよく発熱したりしますし、子どもと離れた状態に長くいるとすぐに母乳も止まってしまいます。形だけではなく、皆の声をよく聞いて、実際に活用可能なものとしてほしいと思います。
その緊急性が明らかなのにも拘らず、ICUにおいて託児所がなかなか実現しないのは、どうしてでしょうか。資金面が問題なのであれば、志願者で募金活動を行ったり基金を設けることが解決につながるかもしれません。法律面に問題があれば、専門家のアドバイスが助けになるかも知れません。
私たちは、本当に困っているのです。なんとかして託児施設を実現させたいのです。大学側は、実現できていない理由をきちんと明示してほしい、そして皆さんにはもっと声をあげてほしい、そう思います。今こそ大学に関わる全ての人たちで知恵や力を出し合い、より良い託児施設のより早い実現を目指すべきではないでしょうか。
働くとすぐに母乳は止まってしまいました。子供が熱を出すと迎えに行ったり休ませたりしなくてはなりません。託児所に入ってすぐの頃は実によく熱を出し、はやり目で一週間外出禁止になった事もありました。そんな調子なので欠勤も度重なり、お金は貯まりません。転職し、託児所の規定の日数をオーバーした時には職場に連れて面倒を見たりしながら、なんとか生活している状態です。そうして休学している間に、用意していた学費は休学費用へと消えてしまいました。
後悔先に立たずといえども、ICUに託児施設がありさえすれば……と悔しくも思うのです。託児施設があれば、育児中の人たちにも学びの機会が広がります。学生だけではなく、教員や事務を希望する人たちにとっても機会の拡大となります。機会の拡大は、少子化の中でも重要な役割を果たすでしょう。このことは単に子をもつ者にとって望ましいだけでなく、優秀な学生や教員のより幅広い獲得にもつながり、ICU内全体のレベルの向上にもつながります。また、育児は人を何倍にも成長させます。そんな育児真只中の人たちと接する機会を得ることで、他の在校生・職員もまた大きく成長し人間としての深みを増すことでしょう。
ICUに強く望むことは、ただ託児所を作るだけではなく、利用料の低価格化、病時中にも対応できること、授乳室の設置など、より現実に即した、実用的なものにしてほしいということです。施設さえ作ればよい、というものではありません。先に述べたように、子どもはよく発熱したりしますし、子どもと離れた状態に長くいるとすぐに母乳も止まってしまいます。形だけではなく、皆の声をよく聞いて、実際に活用可能なものとしてほしいと思います。
その緊急性が明らかなのにも拘らず、ICUにおいて託児所がなかなか実現しないのは、どうしてでしょうか。資金面が問題なのであれば、志願者で募金活動を行ったり基金を設けることが解決につながるかもしれません。法律面に問題があれば、専門家のアドバイスが助けになるかも知れません。
私たちは、本当に困っているのです。なんとかして託児施設を実現させたいのです。大学側は、実現できていない理由をきちんと明示してほしい、そして皆さんにはもっと声をあげてほしい、そう思います。今こそ大学に関わる全ての人たちで知恵や力を出し合い、より良い託児施設のより早い実現を目指すべきではないでしょうか。