一橋大学ジェンダー社会科学研究センター(CGraSS) 代表:木本喜美子
【CGS Newsletter013掲載記事】【ペーパー版と同一の文章を掲載】
「大学のジェンダー教育者は孤立しがち。連携を」との願い(ニューズレター11 号)から、2009 年、CGS と一橋大学CGraSS の共催で「多摩ジェンダー教育ネットワーク」が発足しました。
11月16日の第一回会合(於ICU)に先立ち、多摩地区の大学のジェンダー教育担当者156名に、呼びかけ文とアンケートを送信、40名からの返信を得たものの、何名が会合にお運び下さるかと案じていましたが、予想を上回る18名もの参加を得ました。当日披露されたアンケート回答では「何にせよ心強いです」等、ネットワークへの高い期待が語られ、またジェンダー教育者が孤軍奮闘状態を強いられる大学もあり、交流と連携が必要との想いを共有しました。「教育法・教材を共有したい」「ゲストスピーカー情報を得たい」「共同カリキュラムを作りたい」等の積極的な意見が出され、また非常勤講師予備軍でもある博士課程の院生にもこのネットを開くことが確認されました。
第二回(1月22日、於ICU)は、講義実績を蓄えた二大学から、シラバス、授業展開、学生の反応等のご報告をいただきました。竹内敬子氏(成蹊大学)の、一方で女性に与えられる機会が増大し、他方でDV などの深刻化が見られる中、学生に「自分の問題」として受けとめてもらうことが難しいというコメントは印象的でした。森岡実穂氏(中央大学)も、学生が当事者として理解しやすいトピックを取り上げる必要性、また男性学や男性講師への要望について語られました。
真っ白な雪で覆われた3月9日には第三回(於中央大学)が開かれ、前回に劣らぬ17名もの参加を得ました。この日はジェンダー研究関連制度を持つ大学として、ジェンダー・スタディーズ・プログラムのある和光大学の井上輝子氏、CGS とジェンダー・セクシュアリティ研究専攻のあるICUの加藤恵津子氏が、その教育の取り組みを紹介されました。和光大学は、履修証明書を発行する体制を整えた、ジェンダー教育の制度化が一歩も二歩も進んだ事例でした。また両大学は、ジェンダー研究に関心のある学生に開かれたスペースを有しており、学生参加の基盤があることが大きな強みと思われました。第四回(7月1日、於一橋大学)には、産声をあげて間もない一橋大学ジェンダー教育プログラム作りのプロセスと現状、課題の報告と、ネットワークの今後の運営に関する議論が行われました。
今後とも皆さまのご理解・ご協力をお願いするとともに、ご参加をお待ちしております。