キャンパスの子育て支援の拡充を求めて


CGS運営委員:生駒夏美
【CGS Newsletter016掲載記事/特別特集:CGS開設10周年へ向けて】

 2012年5月にICU授乳室がオープンしました。自身も利用登録者であるCGS運営委員・生駒夏美が、授乳室のこれまでと、今後の展望をご紹介します。

 CGSは創設当初より教職員・学生・院生に対する子育て支援を求めて活動してきましたが、2012年はその成果をひとつ見ることができた年でした。食堂トイレにおむつ交換台が、本館に授乳室が設置されたのです。授乳室には授乳用ソファやベビーベッドの他に、電子レンジやおむつ交換台もあり、マットが敷き詰められた床では子どもを遊ばせることができます。

 ここで、授乳室を利用しながら学業を続けている院生が寄せてくれた言葉をご紹介します。「すごく助かっています。私は子どもを産むまではほとんど毎日学校に通っていたのですが、生まれた後は学校に行くのが難しくなり、ずっと家に引きこもりの状態が続き、かなりストレスがたまっていました。夏休みに一度どうしても学校に行きたくなったときには、キャンパス内で急に赤ちゃんが泣き始め、その際は仕方なくトイレで授乳をすることとなりました。9月に入ってから、ようやく授乳室を使えるようになり、学校で過ごす時間も増え、母親として、また学生として日々を過ごせるのが素敵だなという実感があります。周りの学生さん、先生がたの生き生きしている姿は、育児や学業の力になります。」授乳室は決して大きな部屋ではありませんが、子どもが3人かち合っても問題はなく、親同士が子育てについて話す時間も持つことができました。孤立しがちな学生ペアレントやワーキングマザーにとって、とても価値のある場所ができ、嬉しい想いです。まだ知らない人も多いのですが、非常勤の先生など、より多くの方に利用していただきたいと思います。

 授乳室の開設はしかしそれだけで全てを解決するわけではなく、大学の育児支援はなお拡充される必要があります。学外のシッターはコスト面で学生の利用は困難です。大学による何らかの支援、またはサービスラーニングなど大学の公式活動と連携した学生シッターなどが必要でしょう。先の院生は「学外の方にも授乳室のようなスペースを提供なさるよう提案したいと思います。子どもが生まれてから一番の不便は、赤ちゃんを連れて図書館に行けなくなることです。ICU図書館を利用している学外の方もかなりいらっしゃいますので、私と同じように不便だと思う母親もいるかも、と思います。また、今のICU幼稚園のところに、3歳以下の子どもの保育所のようなものが設けられたらありがたいと思います」と書いておられます。

 勉強もしたい、働きたい、という社会参加の欲求と子育てを両立することは、困難であることは確かですが、周囲の理解と支援がありさえすれば不可能ではないはずです。女性を家庭という私的領域に押し込め育児に専従させようとすることでは少子化は解決しません。多様な生き方を支援し、社会全体で子育てをするというパラダイムシフトが重要です。教育の場であり、学生に生き方を示す場でもある大学こそ、その先鞭をつけるべきではないでしょうか。そのためにより一層のソフト/ハード面でのバリアフリー化(子連れを受け入れる態勢づくり)、学生・院生対象の育児期間学費免除制度の導入、そして保育施設の実現を求めていきたいと考えています。引き続きご支援くださいますよう、お願い致します。

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