社会が変わるという選択肢


ICU卒業生(ID 04):飯田亮瑠
【CGS Newsletter016掲載記事/特別特集:CGS開設10周年へ向けて】

ICUでは、性別に違和感を持つ学生の学籍簿上の氏名・性別表記の変更が、2003年から可能になっています。ICUで初めて声をあげ記載変更を実現した卒業生の飯田亮瑠さん(ID04)に、当時の想いと、在学生・これから入学を考える学生へのメッセージをお寄せ頂きました。

 田中かず子先生の授業で、大学のあらゆる差別に対処するという人権委員会の存在を知りました。私は何気なく質問してみました。「差別の相手が社会やシステムでも対処してくれるんですか?」田中先生は、私の訴えを真剣に聴き、大学に強く働きかけてくださいました。学籍簿の通称名と性別の記載変更が認められたのは約1年後、大学4年の冬でした。あと数カ月で卒業、しかし例え短い期間でも、通称名で、希望性別である男性として、大学生活が送れたこと、卒業できたことは私にとってこの上ない喜びでした。また、進学した専門学校でも、前例はないが大学の学籍簿がそうならと男性として入学許可がおりました。戸籍上の名の変更の際にも、大学で通称使用が認められていたことが決定打となり、スムーズに変更が認められました。

 正直、社会や大学には全く期待してはいませんでした。自分の苦しみは単なるわがまま、そのわがままをどう我慢して生きるかばかり考えていました。しかし、社会が変わるという選択肢、社会は変えられるということを私は田中先生から教わりました。

 このシステムもグレードアップし、現在も利用している学生さんがいると聞きました。苦しいと感じたら、声に出してみてはどうでしょう? 社会や大学が変わったら、あなたの苦しみは軽減されますか?「自分だけの為に社会を?」大いに結構。同じ苦しみをもって耐えて仲間がいますから。LGBTs含め、全ての方のQOLの向上を願っています。

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