第1回「R-Week」報告


早稲田大学大学院/CGS研究所助手:堀 真悟
【CGS Newsletter016掲載記事/特別特集:CGS開設10周年へ向けて】

CGSでは2012年度より、学内でジェンダー/セクシュアリティを考えるアクション週間「R-WeekProject」を立ち上げ、活動を進めてきました。2013年6月3日(月)~8日(土)には、第1回R-Weekを開催。プロジェクトリーダーを務めたRIAの堀真悟が、これまでの取り組みをご紹介します。

 R-Weekは、「R」を多様性のシンボルとして掲げ、ジェンダー/セクシュアリティを主とした学内の諸問題を再考することを目的としている。1週間連続して講演会やワークショップをおこなった濃密な期間であるが、ここではその成果と今後の課題を簡潔に報告したい。まず、今回開催されたイベントの内容を、順を追ってご紹介しよう。

3日(月)「わたしたちの人権̶ジェンダー/セクシュアリティ/エスニシティの課題と世界人権宣言」
講師:
師岡康子(大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター特別研究員)
 ICUでは新入生が入学式で世界人権宣言を主文とした学生宣誓文にサインをするが、その背景となる人権の歴史/社会的意義を学ぶため、弁護士として国内外の人権課題に取り組んできた師岡康子さんをお招きした。講演は、新大久保などで激化するヘイトスピーチの問題にも関連し、活発な討論を招いた。

4日(火)「バカ山ピクニック!」
共催:ICULGBITサークル「Sumposion」
 学生サークル「Sumposion」の発案・共催によって行なわれたピクニックは、梅雨らしからぬ好天に恵まれた。教育研究棟を飛び出し、芝生の上の開放感のなかで交流を楽しめたほか、絵の具を用いてのオリジナル・レインボー・フラッグ制作は道行く学生の注目を集めた。

5日(水)「働きやすい職場って?LGBTと職場環境に関するアンケート調査から考える」
講師:
村木真紀(虹色ダイバーシティ)
 虹色ダイバーシティが実施した、1,000人を超えるLGBTsからの回答があったwebアンケート調査の結果の発表は、学外からの参加者もあり、この分野への関心の高さが伺えた。なにより、就職活動や進路選択を控えた学生にとっては非常に有意義なものだっただろう。

6日(木)「映画上映会:カミングアウトを考える『TORCHSONGTRILOGY』」
(ポール・ボガード監督、1988年アメリカ)
お茶やお菓子を用意しての上映会は、カジュアルながらも、感想を活発に話し合える場となった。映画上映会は、R-Week以外でも定期的に開催していきたい。

7日(金)「届け!動かせ!わたしのREALRe:Bitの活動からICUの課題を考える」
講師:
小川奈津己、笹原千奈未(早稲田大学公認学生団体Re:Bit)
 LGBT成人式を主催し、教育機関等への出前授業も行っている学生団体Re:Bitのメンバーをお招きした、二部構成のワークショップを開催。一部ではRe:Bitの活動歴を紹介する講演を受け、二部ではICU学内におけるジェンダー/セクシュアリティの視点から見た課題の発見と、その解決策を考えるグループディスカッションを行なった。

 また大学図書館では、これらのイベントと連動した選書フェアを開催した。

 最後に、次年度以降の課題をひとつ。R-Weekは当初、学生の問題意識やアイデアを、CGSが支援し形にしていくことを目的としていた。しかし第1回の今年、学生の意見は思っていたよりも集まらず、CGS発の企画が大部分を占めてしまったのだ。今後R-Weekでは、イベント開催を視野に入れた定期学習会を行い、いまICU・CGSに集う学生が何を求めているのか、学生のニーズを聞き取っていきたい。言い換えれば学生の皆さんには、学生生活の中で問題を感じたことがあれば、ぜひCGSを訪れてほしい。何ができるのか、何を変えられるのか、一緒に考えていきたいと思う。

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