身近な存在として


RC-NET(レイプクライシス・ネットワーク)代表理事:岡田実穂
【CGS Newsletter016掲載記事/特別特集:CGS開設10周年へ向けて】

2013年3月に開催した「〈"女"同士の絆〉と生き抜くこと」登壇者のひとり、岡田実穂さんは、RC-NETで活動しています。NPOの立場から、CGSとのつながりと、今後の活動への期待をお寄せ頂きました。

「〈"女"同士の絆〉と生き抜くこと」にお呼びいただいた際、それぞれに年代の異なる活動家としてみなさんのお話を聞き、草の根から根気強くレズビアンのために活動されてきた先輩方や、その中で培われてきた新しい活動、私たちはずっと繋がってきているのだな、ということを実感しました。これはきっととても大切なことで、活動をしているとどうしても自分たちの活動に追われてしまって、他団体や人との繋がりが少なくなってしまうような気がします。改めて顔を見て、想いを聴く、そんな場がこれからも続いていってくれたら嬉しいなと思っています。

 RC-NETには「誰にも言うことが出来なかった」声が届きます。それは多くの性暴力サバイバーが思うことでもありますが、LGBTQサバイバーの場合益々助けを求めることが困難な状況があり、その状況は支援現場ですらあまり共有されてはいません。「サバイバー像」などというものは実際にはありません。そのことを一人でも多くのサバイバーに届けるために、私たちが現場であげていく声を、しっかり受け取ってほしいと思っています。例えば大学の中でも被害についての調査は出来ると思います。その中の困難事例を私たちがサポートする事は可能です。また、私たちが受け取る声にならない声に、名付けが出来るのは研究であるかもしれません。日本のNPOは殊に現状を数値化するのが苦手です。また、問題を社会にアウトプットすることも苦手ですし、予算も人材も希薄です。サバイバーに声を出させることを強要せずとも、「安心な社会」を作っていくために、現場を顧み続けてくれる「モノ言う人」が私たちには必要です。

 CGSが私たちの身近な存在として「ここに在ってくれることを」。そして、ジェンダー規範に囚われずにあらゆるサバイバーにとって生きやすい社会を共に作る仲間として、今後ともつながって行ける事を願っています。

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