CGS センター長/ 国際基督教大学上級准教授: 加藤恵津子
【CGS Newsletter013掲載記事】【ペーパー版と同一の文章を掲載】
Dialogues -対話。ジェンダー・セクシュアリティにまつわる体験、発見、悩み、闘いについては、どんなに語っても語り尽くすことはできません。特にこの分野に携わる教員や活動家は、自分そして社会の思い込みに日々気付き、それを何とか是正しようと、自分や他者に働きかけています。この広い意味での「教育」を、アジアという文脈で語り合うことで、教育、そしてアジアの可能性の豊かさを掘り起せないでしょうか?さらには「アジア」というカテゴリー自体の有効性と限界を、探ることはできないでしょうか。
このような想いからCGS は、11月20日(土)から22日(月)の三日間にわたり、「アジアでジェンダーを語る-アジアにおけるジェンダー・セクシュアリティ教育」と題する国際ワークショップ(同時通訳付き)を開催します。
中心となるのは三つのセッション、「宗教と教育」「草の根運動における教育」「大学教育」です。
各セッションではまず、3 名のパネリスト(2 名は海外、1 名は日本から)に、これまでの教育活動を、自国の一般状況と交えてお話しいただきます。招聘者は、自国そしてアジアで先導的な役割を果たしてきた方々で、韓国、フィリピン、マレーシア、ベトナム、タイなど、多様な地域からご参加いただきます。続いて、参加者全員による自由討論に入ります。学会「発表」とも、火花を散らす「闘論」とも一線を画した「対話」、すなわち個人的な苦労や想いも安心して語り合い、分かち合える、また「専門家」と「聴衆」という二分法も排した親密な場になるよう願っています。
このワークショップのテーマが「アジア」「教育」「対話」に集約されるのには理由があります。まず、「アジア」におけるジェンダー・セクシュアリティ研究の発展は、CGS の設立以来の願いです。欧米のジェンダー・セクシュアリティ研究において、日本はじめアジアは、女性やマイノリティへの抑圧に満ちた「発展途上」地域と見られることも少なくありません。これに対し、アジアにおける連携を促し、自らの豊かな達成、ダイナミズム、そして可能性について世界に発信していくのがCGS の使命です。2004 年から2007 年にかけて行った国際ワークショップ・シリーズ「アジアから視るジェンダー」も、今年のワークショップも、この同じ理念の下にあります。
次にCGS は、多摩地区の諸大学のジェンダー・セクシュアリティ関連の教育者をつなぐネットワーク作りを始めました(巻頭記事を参照)。今回のワークショップは、この活動を一歩、アジアという枠組に広げたものとなります。
そして「対話」は、CGS はもちろん、国際基督教大学のテーマです。本学では今年、ダイアログハウスという名の多目的施設が新築されました。会議室、宿泊施設、大学食堂を含むこの建物は、多様な人々の出会いと対話を生むことを願って建てられたもので、本ワークショップは、この建物のオープン記念イベントの一つなのです。
楽しく、刺激に満ちた多くの「対話」が生まれるよう、スタッフ一同、鋭意準備中です。皆さまのお問い合わせ・ご参加をお待ちしております。
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ワークショップの詳細については以下の記事を併せてご参照下さい。
http://web.icu.ac.jp/cgs/2010/10/agd.html