B. Pick Up!: 2015年12月アーカイブ


文責:CGS事務局 加藤悠二

 一部報道で「ICU LGBT配慮の学生寮 性別不問のフロア初設置」というニュースが報じられました。2015年はジェンダー・セクシュアリティにまつわる言葉のなかでも、とりわけ「LGBT」という言葉を見聞きする機会が多く、そうした流れのなかで、本学の取り組みも大きく報道して頂けることになった、いわば時流としての側面は大きいものと思われます。

 しかしながら、ICUの新学生寮の運営方針に関する今回の決定は「これまでの学生が積み重ねてこられたカミングアウトや、学生同士のサポートの蓄積の上に成り立ったものでもある」ということは、重ねて強調しておきたい点です。
 ICU LGBITサークルSumposionは、2007年に学生生活全般に関する要望書を、2009年には新寮(現 欅寮・銀杏寮・樫寮の三寮)建設に建関する質問書を提出しています。書面提出に際しては、学務副学長や学生部長と直接面談する機会も設けられたとのことです。大学行政に対しての学生からのカミングアウトを伴う交渉の結果、2010年に開寮された三寮では、個別のシャワーブースが導入されることになりました。
 また、CGSでは2013年、「入寮中は周囲との関係もありカミングアウトできなかったが、退寮した今ならできるし、カミングアウトをしたうえで大学側と話をしたい」という学生をサポートし、学生グループ・ハウジングオフィスとの面談機会を設けました。その面談の結果、グローバルハウスのチューターおよび各新寮のCA(Community Assistant:新寮におけるチューター的立場の学生)の連絡会で、CGSスタッフがファシリテーションを行う勉強会が実施できるようになりました。その勉強会では、チューターやCAをつとめる学生が、常に・既に、ジェンダー・セクシュアリティの面でも多様なサポートを行ってきていることをご共有頂いています。

「性別不問のフロア」は、「上述の経緯が議論に寄与した点」「"自身の性自認や性的指向"と"大学寮側のオファー"のミスマッチから入居できなかった学生の入寮可能性が増える点」において、LGBTへの配慮が含まれるものであることは確かです。しかしこのフロアはもちろん、非LGBTの学生に対しても、「女性・男性に二分された寮の運営体制に居心地の悪さを感じるから」「性別不問での共同生活にチャレンジしたいから」「なんとなく」など、理由を問わず、門戸が開かれるべきものです。
 また、「"教育寮としての大学寮"において、"互いの多様性を認め、尊重し合える寮/寮生活"の在り方を、いま一度考え直す契機とする」という面においては、このフロアは、LGBT・非LGBTを問わず、全てのICU構成員に再考を促すものでもあると考えられます。

 この件にご関心をお持ちの方は、下記URLもご参照ください。

◎CGS Online
【CGS Newsletter009掲載記事】「多様性」は意識から:シンポシオン要望書提出
http://web.icu.ac.jp/cgs/2008/04/post_6.html

【2015.10.21.改訂】LGBT学生生活ガイド in ICU:トランスジェンダー/ GID編
http://web.icu.ac.jp/cgs/2015/10/1510lgbtguide_tstg.html

トランスジェンダー学生対応の10年間とこれから【全文PDF】
http://web.icu.ac.jp/cgs/2014/09/nl017_06.html

Sumposion
『「クィア」という経験 vol.2』全文公開!!(2007/11/06(火))
http://lgbit.blog6.fc2.com/blog-entry-88.html

続・新寮建設 (2009/06/12(金))
http://lgbit.blog6.fc2.com/blog-entry-94.html

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