「ジェンダー・セクシュアリティとキャンパスライフ Vol.2: やれることリスト108 at University (ver.1)」全文(PDF, A4, 23ページ, 0.6MB)
「ジェンダー・セクシュアリティとキャンパスライフ Vol.2: やれることリスト108 at University (ver.1)」ッチェックリスト(PDF, A4, 10ページ, 0.2MB)
同シリーズvol.1として「ジェンダー・セクシュアリティとキャンパスライフ Vol.1:できることガイド in ICU」(全文PDF(2.1MB) )、副読本として、ICUにおけるジェンダー・セクシュアリティ対応 ―トランスジェンダー学生対応の10年間とこれからも併せてご覧ください(全文PDF(1.2MB))
■序文:「やれるはずのこと」を「できること」に
「ジェンダー・セクシュアリティとキャンパスライフ Vol.2:やれることリスト108 at University」(以下「やれることリスト」)は、大学を構成するあらゆる人々の手でフェアな学びの環境をつくりあげていくための、エンパワメント・ツールキットです。編著を加藤悠二(CGS職員)が担当し、発行はCGS(Center for Gender Studies: ジェンダー研究センター)がおこなっています。
同シリーズVol.1「できることガイド in ICU」は、ICU(International Christian University: 国際基督教大学)の在学生が、よりよい学びの環境を得るためのサポートを目的として、現在ICUの環境で可能とされている学修サポート情報を、ジェンダー・セクシュアリティの観点からまとめたものです。
本シリーズの前身は、「LGBT学生生活ガイド in ICU:トランスジェンダー/GID編」と題し、2012年に出版、以降、2015年10月までの間に第8版までの改定を繰り返してきたリソース集です。*1 ICUにローカライズされた情報で、かつ、対応が極めて限定的で改善すべき点が多いものであるにも関わらず、特に学外から、ICUの対応や「LGBT学生生活ガイド」の内容が、「LGBT学生対応・支援の先進例」であり、「LGBT学生対応・支援の在り方の指標」であるかのように捉えられてしまっている・誤解されてしまっていることも少なからずありました。また、
・「LGBT」ばかりが注目され、ジェンダー・セクシュアリティの課題として連動して存在するはずのフェミニズムの視点が感じられない
・「LGBT」内部の多様性や、L・G・B・T以外の多様なジェンダー・セクシュアリティのあり方に関する認知が低い
・学生ばかりが注目され、「LGBT教職員」の存在が不可視化されている。*2 その不可視化には、「教職員は支援者=Allyであり、AllyのなかにはLGBT当事者は含まれ得ない」という思い込みが作用していることさえある*3
・大学やキャンパスごとに異なる校風・環境や、個々人ごとに異なる要望があるはずにも関わらず、「LGBT学生の課題解決には、共通・唯一の方法がある」という強い期待(誤った期待)を持たれていることも少なくない
などの問題に直面することも、幾度となくありました。
そのため、より網羅的に、特に教職員が、主体性・当事者性を獲得しながら、ジェンダー・セクシュアリティの視座からキャンパス環境改善を考えていくために、新規シリーズの立ち上げ・本ツールキットを制作することとしました。
「やれることリスト」は、あくまでも、大学の就学・就業環境の改善を手助けするための「ツール」です。参考にした資料の多くは、「キャンパス/職場環境の分析・評価指標」であり、獲得スコアに応じた格付を行うことを指向するものですが、「やれることリスト」は格付を目的としていません。*4 また、「全項目を達成すれば、なんの問題もないキャンパスができあがる」といったことを保障するものでもありません。
ここで私たちが提供・提案したいのは、教職員や学生、卒業生、地域の人々など、大学に関わる全ての人々が共に考え、行動するためのアイディアの一例です。特に、当事者の声を聴きながら、お仕着せでないキャンパス改善を目指していくことを、強く志向しています。ここでは「法改正を待つことなく、大学が独自の判断で問題なく実行に移せること」のみをリスト化しています。*5 あくまでも「やれるはずのこと」のリストであり、「できないこと」はひとつもありません。そして、「やればやっただけ、キャンパス環境が改善されていくこと」のリストとなっています。
「やれるはずのこと」を「できること」へ。もちろん、各大学の校風や地域の特性などによっては実現が困難なものもあるかと思いますが、少しでもよい環境を作っていく手助けとして、このリストが活用されていくことを期待しています。
*1 LGBTは、レズビアン(Lesbian)、ゲイ(Gay)、バイセクシュアル2(Bisexual)、トランスジェンダー(Transgender)の頭文字からなる、セクシュアル・マイノリティ(性的少数者)を総称する語として近年広く使われています。Q(Questioning:性のあり方をひとつに固定しない/Queer:規範的な性のあり方に異議を申し立てるあり方)、A(Asexual:性的な欲望をもたない/Ally:支援者・連帯を示す者)なども並べて表記される場合もあります。もちろん、セクシュアル・マイノリティはL・G・B・Tの4カテゴリーのみに限定はされませんし、ジェンダー・セクシュアリティに基づく困難は、マイノリティだけに限られるものではありません。本ガイドでは基本的には「LGBT」という語を採用しない立場をとりますが、文脈の必要性に応じて「LGBT」、Queerを追加した「LGBTQ」、および、Allyを追加した「LGBTQA」を限定的に用います。紙幅の関係上、「個々に使い分けの理由を説明できない場合があること」「各カテゴリーの詳細な説明を本誌では担わないこと」を併せてご了承ください。
*2 CGSには「LGBT学生対応・支援」に関する問い合わせは数多く頂いています。オープンリーゲイの職員も常駐していますが、2016年8月までに「LGBT教職員」についてのお問い合わせは、全くありません。
*3 「ゲイとしての当事者性はあるが、同じ同性愛者だからといってレズビアンと同じ立場である、とは言い切れない。女性やトランスジェンダーの課題に対してはAllyの立場である」「レズビアンだからといって、全レズビアンの代表者はない、という面で、Allyの立場でもある」といった立場もあり得ます。
*4 例えば、「項目達成数に応じて、"LGBTフレンドリー・ゴールド認定大学"などと認定・表彰する」「"LGBTフレンドリー大学ランキング"を制作・発表する」「このリストに基づき、グッド・プラクティスを収集する」などは、このリストの制作目的ではありません。
*5 「法改正が必要だが、今後のアイディアとして重要と考えられること」は、註釈やコラムにて紹介しています。
■ 内容
序文:「やれるはずのこと」を「できること」に
「やれることリスト」について
[コラム]当事者参画の必要性とアウティング防止
「やれることリスト」の使い方
[Step 0] 仲間を集め、話せる場をつくる
[Step 1] リストをチェックする会議を開催する ―できていること、できていないことを分類しよう
[Step 2] 「できていること」情報を集約し、広報する
[Step 2.1] 「できることガイド in ○○大学」をつくろう
[Step 2.2] ガイドを広報・配布しよう
[Step 2.3] 経緯・歴史を集約しよう
[Step 3] 「やれるはずのこと・できていないこと」を「できること」に変えていく
[Step 3.1] 「できていないこと」を分析し、行動をはじめる
[Step 3.2] 「できるが、利用したくてもできない」を、「だれでも利用できる」に変えていく
[コラム]さまざまな人が関わりチェックをする必要性
[コラム・学生のアクションツールとしての活用]自分たちの手で要望書をつくってみよう
やれることリスト108 at University
1. ポリシーメイキング(小項目含めて全21項目)
2. 組織としてのコミットメント(小項目含めて全20項目)
3. 設備面(小項目含めて全11項目)
[コラム]トイレのマークについて
4. アカデミックライフ(全12項目)
[コラム]教職課程について
5. 学生生活(小項目含めて全11項目)
6. 寮や居住(小項目含めて全12項目)
[コラム]「LGBT寮」のコンセプトをどう考えるか
7. 保安(小項目含めて全11項目)
8. カウンセリング、健康(小項目含めて全10項目)
[コラム]ジェンダー移行のサポートについて
お問い合わせ・奥付
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