2005年3月アーカイブ

【グループ1】
 非異性愛者と異性愛者の関係は、わざわざ名乗る必要がない社会になっていくのが理想というふうにおっしゃっていましたが、お二人にとって、もう少し具体的にどのような環境が理想なのでしょうか。

【グループ2】
 世代による思い込みというか、偏見ってあると思いますが、若い世代になるにしたがって、セクシュアリティがマイノリティに対する偏見は少ない傾向にあるように思いました。
そして、お二人のお話の中にあった、「アメリカ人が嫌いだ」ということと「同性愛者が嫌いだ」ということに違いがあるんじゃないかということを、僕もさっきから考えているんですけど、いまいちはっきりした答えがありません。アメリカ人が世界の中でマイノリティと考えている人がいないということも大きいのかなと思いました。ただ、9.11以降、アメリカ人というだけで世界の人から嫌われてしまっているというふうに思っていて、それをむしろ、ざまぁみろっていうのとはちょっと違いますけど神学者がいてなんですけど。つまり、今までは黒人っていうだけで差別されてしまうような状況を、アメリカ人全体が負っているっていうのは似たような状況であるっていうふうに言っているコーネル・ウエストという黒人の神学者がアメリカにいて、そのことを思い出したりしました。すみません、まとまらなくて。

「名乗り」を「引き受ける」?

飯野:話がずれましたけど、噂ではミヤマさんはレズビアンって使わない派だって聞いたんですが、なんかさっき親にはレズビアンって言ったっておっしゃってたんですけど。

ミヤマ:いやそれはよく使う時ありますよ(笑)。

飯野:私もそうですけれども、あんまりレズビアンという名乗りは使わない派だということは前々から聞いていて、それを「ずるい」とも言われたっていう話をちょっと耳にしたことがあって、それはどういう話なんですか?

ミヤマ:それはですね、ある人からそう言われたんですが、ご本人はレズビアンであることにすごく誇りを持っている人なんですね。差別されたり偏見を持たれたりするかもしれないという都合の悪い部分も含めて、覚悟を持ってその名乗りを引き受けた人で、「私はこれからもレズビアンのライフスタイルを模索していくのよ!」ってことを鼻息荒く(笑)語っていたんですけれど。

飯野:待って、レズビアンのライフスタイルって何?

飯野:それでは次の話題に移っていきます。ここまでの話で、もう多分どんな人でも(笑)、わかっているかなと思うんだけれども、異性愛が標準とされている世界に住んでいるよね、まぁそれは否めないよね。っていうことと、それを「異性愛がデフォルトの世界」ってここで私たちは今まで呼んできたけれども、そういう「異性愛がデフォルトの世界」では非異性愛の人たちは、リスキーだとは思っていても、わざわざ名乗らなきゃいけなかったり、何度も何度も名乗らなきゃいけなかったり、リマインドしてあげないといけない、しないと存在が消されちゃう、自分が何者であるかっていうことが認識されないまま、なんか「みんなそうだよね」っていう中に入れ込まれてしまう。そういう名乗らなきゃいけないこと自体、ややこしいし厄介だし、面倒くさいし問題だと思っているんだけれども、それだけなのか。今日は「〈名付け〉をめぐるポリティクス」というテーマですけれども、「名乗ることって厄介なんだよ」っていうだけでじゃなくて、もっともっと難しい問題が視点を変えると見えてくると思うので、次にそっちの話に移ろうと思います。

田中 かず子:ゆりこさんとアキラさんです。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

飯野由里子(以下飯野): ゆりこです(笑)。ICUはそういうカルチャーなんでしょうか。

ミヤマアキラ(以下ミヤマ): ミヤマアキラと申します。デルタGというニュースコンテンツサイトを運営しております。

飯野: 一生懸命声を張り上げてしゃべっているのですが、いつも学生さんに飯野先生の声は眠くなるといわれます(笑)。本日は19時まで、若干長い時間になりますけれども、よろしくお願いいたします。

月別 アーカイブ