02. 日本から: 2005年4月アーカイブ

ICU大学院 : 平野遼
【CGS News Letter003掲載】【ペーパー版と同一の文章を掲載】

 女性であることを理由に昇進や賃金で差別を受けたとして、住友金属の女性社員ら4人が、会社に男性社員との差額賃金や慰謝料など計約3億4000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は28日、計約6300万円の支払いを命じた。住友グループ3社の一連の男女差別訴訟で、女性側勝訴の判決は初めてである。しかし、住友金属側は控訴の姿勢を固めており、その企業内の労務管理を改めるといったコメントを表明する意向もないようだ。他の住友系の住友電気工業と住友化学工業については一審大阪地裁がいずれも請求を棄却したが、大阪高裁で会社側が昇格や解決金支払いに応じ和解が成立している。他の2社が和解という形でもこの問題を解決しようという姿勢を見せているのとは対照的に、である。こういった体質はある種日本企業の暗部であり、改善されるべき問題の一つといえよう。

ICU学部 : 清水雄大
【CGS News Letter003掲載】

 母国で貧しさに窮している女性を日本でいい仕事があるなどと言葉巧みに誘い、運び屋が偽造パスポートなどを駆使し日本に移送。暴力団などに監禁された後、風俗店などに売り渡され、移送料などの名目で平均300〜500万円の借金を背負わされる。被害者はどのくらい返済したのかも知らされることなく、別の店へ次々と「転売」され、性労働を強制され続ける-----米国務省が2月に発表した人権状況に関する2005年度国別年次報告書は、日本におけるトラフィッキング(人身売買)の深刻さを浮き彫りにした。

専修大学大学院 : 田村直子
【CGS News Letter003掲載】【ペーパー版と同一の文章を掲載】

 2004年国会で裁判員法が成立した。重大な刑事裁判に市民が参加する制度で、2009年までに施行される。国民の司法参加は民主主義の実現にとって意義が高く、その道を拓いたのは画期的だが、裁判員制度は未だ様々な問題を含んでいる。その一つは、ジェンダー視点の欠落という問題だ。

ICU大学院 : 東 志保
【CGS News Letter003掲載】

 2004年10月14日(木)、東京外国語大学で、トリン・T・ミンハの新作「Night Passage」の上映会・講演会・及び札幌大学の今福龍太教授(文化人類学)と立命館大学の西成彦教授(比較文学)とのディスカッションが行われた。ミンハは、ポスト・コロニアリズムとフェミニズムの立場から、彼女自身がもつ複数のアイデンティティ(ヴェトナムで生まれ、フランスとアメリカで学び、セネガルで教える)を利用し、アイデンティティの複数性の問題について、映像・詩・音楽・著作活動で表現してきた。カリフォルニア大学バークレー校で映像論の教鞭もとっている。私は映画、とくにフィクションとドキュメンタリーの境界の問題について関心があるので、ジャンルに頼らない映像作家ミンハについて知りたくて、参加した。

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