02. 日本から: 2007年4月アーカイブ

国際基督教大学教授:御巫由美子
【CGS News Letter007掲載】【ペーパー版と同一の文章を掲載】

 やれやれ。案の定教育基本法改正が国会で成立した。改正法には現行法にはない「公共の精神」や「国を愛する態度」などが織り込まれる。改正法は、戦前の教育勅語のように国家の教育への介入・支配を示唆しており、それ自体非常に憂慮されるべきことであるが、ここではジェンダーの視点から、安倍政権が、教育基本法改正その他の政策を通じてめざそうとする「美しい国」の本質に迫ってみたい。

弁護士:石田法子【CGS NewsLetter 007掲載】

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【要約】
 近年改憲論が声高に語られ、政治の具体的スケジュールとなっている。安倍総理は、2007年の年頭所感で、自分の内閣での憲法改正を目指すことを、参院選の自民党の公約として掲げると表明した。
 しかしながら、自民党が2005年10月に発表した新憲法草案は、現行憲法の平和主義を放棄し、この国を、軍隊を持ち、集団的自衛権の名の下に米国と共に世界の隅々で戦争をする国にしようとするものである。またその体制を強固にするために、個人の利益に先立つ「公」の原理を、人権の制約原理に持ち込み、人権保障を後退させている。
 現行憲法は、14条で女性に平等を保障し、24条で「家制度」から女性を解放した画期的なものであるが、改憲論議の中で、24条への攻撃は激しく、その削除、改訂が主張されていた。新憲法草案ではその改訂は見送られているが、それは国民投票権を持つ女性の反発を避け改憲への道筋を開きたいとの狙いにすぎず、一旦改憲されると必ずや24条改訂は浮上する。
 改憲論の台頭と、ジェンダー思想を敵視するバックラッシュ、ジェンダーバッシングの動きの拡大とは連動し、改憲勢力とバックラッシュ勢力は重っている。新憲法草案が目指す社会は、ジェンダー的に大きな危惧がある。
 改憲に強く反対する。戦争の中で女性の平等は守れない。戦力で女性の権利は勝ち取れない。

ICU大学院:平野遼【CGS NewsLetter 007掲載】

 まっとうに「働く」ために、今我々は何を知っておかなければならないのか。2006 年 9 月 29 日、女性ユニオン東京の伊藤みどり氏、藤井豊味氏を迎え、CGS /就職相談グループ /COE 共催による講演、「後悔しない就職、しませんか?-正規社員と非正規社員の現状と課題-」が開かれた。本講演は主に、正規雇用と非正規雇用の労働環境の現実をそれぞれ解説しながら、そのなかでどのような権利を労働者として行使でき、主張可能なのかという点を伝えるものだった。就職活動を控えた学生にもわかりやすいように、パワーポイントを用いたクイズ形式をとるなど、工夫も凝らされていた。日本では現在、非正規雇用は現在派遣社員、パート・アルバイト・契約社員・派遣社員等様々な就業形態がある。とりわけ、2004年の労働者派遣法の改定に伴い派遣社員は増加し、認知度が高まっている。

東京メトロポリタンゲイフォーラム共同代表:赤杉康伸・石坂わたる【CGS NewsLetter 007掲載】

 2006年7月8日夜、高校3年の男子生徒ら少年4人が、東京都江東区新木場の夢の島公園で男性同性愛者(ゲイ)に暴行を加えて全治40日の怪我を負わせ、現金を奪ったとして、強盗傷害容疑で警視庁城東署に逮捕されました。また、4人組は男性を襲った直後、400メートルほど離れた同運動場内で別の男性も襲い、2週間の怪我を負わせました。4人は初めに襲われた男性の110番通報で駆け付けたパトカーのサイレンを聞いて、2人目の男性からは現金を奪わず逃走しましたが、間もなく同運動場内で捜査員に取り押さえられました。
 この夢の島公園は、ゲイ・バイセクシュアル(両性愛)男性が出会いを求める「ハッテン場」と呼ばれる場所のひとつです。異性間カップルにとっては社会の至る所に準備されている出会いの場ですが、可視化が進んでいない同性間カップルの場合、非常に少ないのが現状です。そのため、ゲイ・バイセクシュアル男性当事者は口コミやゲイ雑誌、最近ではインターネットなどの媒体により自分たちが出会える場所を形成してきました。それがハッテン場です。夢の島公園は東京都内に存在する野外ハッテン場では比較的規模が大きく、今回の事件における1人目の被害者のように全裸になる人やセックスをする人もいます。

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