010号: 2008年9月アーカイブ

NL010_toppage2.jpgCGSニューズレター 010号が完成しました。CGSなどでペーパー版を配布しているほか、以下のURLより、pdf版がダウンロードできます。是非ご覧下さい。
なおペーパー版・pdf版に収録されている記事は、要約の場合があります。記事全文は、左のカテゴリーより、「E.ソース別分類」「04.ニューズレター」から「010号」を選択してご覧下さい。随時公開していきます。

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CGSニューズレター 010号目次

青森セクシュアルマイノリティ協会 ~にじいろ扁平足~:創
【CGS Newsletter010掲載記事】【ペーパー版と同一の文章を掲載】

Nijiiro Hempeisoku logo昨年末から、未成年者を対象とする携帯電話フィルタリングを巡って政府や企業、第三者機関、更には国会と様々な動きがあるが、私にとってこのことは無関心ではいられない大きな問題である。性的マイノリティについての正しい情報の発信や交流のためのサイト、個人のブログまでもが、「有害」として一律フィルタリングの対象となる危険性を孕んでいるからだ。今ある偏見を助長し、同時に性的マイノリティの支えを奪ってしまう結果を生み出しかねないのである。

日本側コーディネーター(ICUジェンダー研究センター):井上有子
【CGS Newsletter010掲載記事】【ペーパー版と同一の文章を掲載】

Logos of Japan-UK LGBT Youth Exchange ProjectLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)を取り巻く環境は、ここ5年で大きく変化してきました。イギリスでは性的指向による差別を禁止する法律が制定され、同性パートナーにも結婚と同等の法的権利が認められるようになり、日本でもレズビアンを公言する議員があらわれ、さまざまなLGBTのグループ活動が活発化しています。一方でLGBTの/かもしれない若者たちにとっては、自分の性のありようを受け入れる助けとなるような情報や人との出会いが増えたかというと、そうではありません。むしろ、同性愛や性別規範を超えることに対する否定的な情報にさらされることが多く、LGBTである(かもしれない)自分をそのまま受け入れるのは依然として困難です。こういった否定的な情報と教育現場でのLGBTの若者に対する援助の欠如は、同性愛嫌悪、トランス嫌悪によるいじめの最大の温床ともなっています。日本でもイギリスでも多くのLGBTの若者がいじめの被害にあい、その中で自殺を考えたり、実際に試みるまでに追い詰められています。この生き難さにたいしては、当然なんらかの支援がなされるべきです。それと同時に、こういった困難に負けることなく、それぞれの場で偏見を理解に変えようと努力しているLGBTの若者たちも多くいます。若者に限らずすべてのLGBTの人たちが人権を保障され、生きやすい社会を作っていこうとする動きのなかで、こうした若者たちのイニシアティブ(進取性)の秘める大きな可能性を見過しにすることも出来ません。

イギリス側コーディネーター:細見由紀子
【CGS Newsletter010掲載記事】【ペーパー版と同一の文章を掲載】

Flyer for the YEP open event on August 24, 2008自国でLGBT 当事者と出会うのにも苦労するのに、なぜ何千マイルも離れたLGBTユース同士が国境を越えて出会う必要があるのか。逆説的だが日英LGBTユース・エクスチェンジ・プロジェクトを行う理由はそこにある。このプロジェクトは、異性愛至上主義と性別に関する固定観念が、それらに合致しない人を阻害し差別するこの社会で、LGBTの若者達/そうかもしれないと思う若者達が居場所を確保し、仲間や自分自身について考える場を提供するものである。日本でもイギリスでも若年者はLGBT コミュニティーの中でもマイノリティとなりがちだし、誰にとっても大問題であるカミングアウトは、親に扶養されている若者には更に困難になりうる。

ICU学部
A Homosexual Asian Male Bitch From CA/NZ/JP:
マサキチトセ

【CGS Newsletter010掲載記事】【ペーパー版と同一の文章を掲載】

Rainbow sandwich board of Sei Outlaw日本の高校に通っていたころ、ボクはクローゼットのゲイだった。「ゲイ」という言葉も知らなかったかもしれない。自分のセクシュアリティを受け入れてはいたけれど、カミングアウトしている人なんて一人も知らなかったから、友達や家族がどう反応するのか見当もつかなかった。もし十七でニュージーランドに行っていなかったら、果たしてカミングアウトすることができていただろうかと今でも時々考える。日本で。日本の高校で。……きっとできなかっただろう。

ICU学部:大島寿子
【CGS Newsletter010掲載記事】【ペーパー版と同一の文章を掲載】

Poster for the lecture2008年4月23日、「ジェンダー研究へのアプローチ」の授業の一環として、スポーツ通訳者の石島コウタ氏による「日米間ジェンダー、文化・スポーツビジネス論」がCGSの主催で開催された。日本と米国で日本人メジャーリーガーを支援する仕事をなさってきた石島氏は、MtF(male to female)のトランスジェンダーである。講演では、女性・男性という性別の狭間、また米国と日本という文化の狭間を常に意識してきた氏のライフヒストリーを通して、性暴力サバイバー、結婚・こども、カミングアウト、日米スポーツマーケティング論といった幅広い分野が論じられた。

WILPF(婦人国際平和自由連盟)国際副会長:秋林こずえ
【CGS Newsletter010掲載記事】【ペーパー版と同一の文章を掲載】

日本国憲法第9条を世界に広げようと「9条世界会議」が5月4日~6日、幕張メッセなどの会場で開催された。
4日の全体会では、マイレッド・マグワイア氏(北アイルランド、ノーベル平和賞受賞者)らによる挨拶やライブなどが行われた。
5日はシンポジウムやワークショップなどが開催された。その中の一つが「平和を創る女性パワー つなげよう!世界の女性のイニシアティブ」である。世界各地から参加した6人のパネリストたちが、女性たちによる平和創造の試みを紹介し、提言を行った。私は司会をしたのだが、以下にシンポジウムの様子を紹介したい。

ICU学部:岩田まゆ
【CGS Newsletter010掲載記事】【ペーパー版と同一の文章を掲載】

4月28・29日、NHK「ハートをつなごう」にてゲイ/レズビアン特集が放送された。2夜通して感じたのは、全体として話がかなり単純化されていて、「同性愛者/異性愛者」という二項対立的ポジションはずっと変わらない、という雰囲気だった。「とりあえずバイセクシュアル」な私は、これには違和感を抱かざるを得ない。セクマイの知識が無い視聴者向けに、今回はゲイ・レズビアンに絞って分かり易く、ということかもしれないが、これでは逆にセクマイの中の多様性、或いは実際は誰しもに起こりうる「性のゆらぎ」の部分が見え辛くなって「わたしたちセクマイとはこういうもの」とか、或いはもっと他人事かつ短絡的に「へー、ゲイ・レズビアンって大変。今度から発言とかに気をつけなくっちゃ☆」というような「理解」や「受容」に結びつかないか不安なのだ。

デルタG (www.delta-g.org)運営スタッフ:ミヤマアキラ
【CGS Newsletter010掲載記事】【ペーパー版と同一の文章を掲載】

Portrait of the writer Miyama「レズビアンとして」の声を求められると、わたしはとたんに不機嫌になる。いらいらして落ち着きをなくし、身体がこわばり、自己防衛的な気持ちになる。「レズビアンってなんですか?」と問われたら、「さあ、わかりません。あなたはどう思いますか?」と問い返すだろう。もしもあなたが、「女性を好きになる女性のことでしょう?」と答えたら、わたしは口をつぐむしかない。
「女性を好きになる女性=レズビアン」という公式は、非当事者(異性愛者)にとっては不可解な他者をカテゴライズする便利な常識だが、女性を好きになる女性当事者にとっては、逆に混乱と葛藤をもたらすことがある。女性が女性を好きになるという性愛体験が、すぐさまレズビアンの自認(自己形成)に結びつくわけではないからである。このことを、角度を変えてこう言ってみることも可能かもしれない。解剖学的に女性/男性の身体を持っていることが、すなわち「わたしは女性/男性である」という自認(自己形成)に結びつくわけではない、と。また、日本国籍を持っている(あるいは日本で生まれ育った)ことと、「日本人として」のアイデンティティを持つことは決してイコールではない、と。

記者:二木泉(CGSスタッフ)
【CGS Newsletter010掲載記事】【ペーパー版と同一の文章を掲載】

Pamphlet of the association-front page想像して欲しい。ある日あなたの家族から「実はレズビアン/ゲイ/バイセクシュアル/トランスジェンダー(LGBT)なんだ」とカミングアウトされたら、あなたはどう反応するか。ショック、困惑、怒り、否定、そして苦悩……。LGBTに関して今でも正しい知識を持たない人は多く、カミングアウトを受けた家族はただ驚き、苦悩し、時に拒絶してしまう。そんなLGBTの家族や友人をつなげる活動をしている団体がある。NPO法人「LGBTの家族と友人をつなぐ会」(以下、つなぐ会)である。関西のメンバーの清水尚美さん、関東のメンバーの小林良子さん、小林たけしさんにお話を伺った。

ザック
【CGS Newsletter010掲載記事】【ペーパー版と同一の文章を掲載】

30年以上前、学校で「レズビアン!」と言われて初めてその言葉を知った。当時は意味が分からなかったが、込められた敵意が私を黙らせた。それから数年、ホモフォビアによるいじめが続き、自分の性的指向に関する理解は胸のうちに秘め続けた。女の子が好きだという気持ちに行き場はなかった。ヘテロの友人は私に悲嘆と混乱をもたらし、彼らは彼らで冷めて立ち去った。私は学校の外でかなり年上の男女グループと仲良くなった。そこでは(後に何人かはゲイだと知った)ヘテロでいるべきといったプレッシャーはなく安心できたが、カミングアウトはしなかった。私達はたむろしては、ドラッグとクラブミュージックを楽しんでいた。

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