004号の最近のブログ記事
センター長:田中かず子
【CGS NewsLetter 004掲載】【ペーパー版と同一の文章を掲載】
二年目を迎えたICUジェンダー研究センター(CGS)では、ジャーナル『ジェンダー&セクシュアリティ』を毎年12月に発行することになりました。CGS設立当初の三つの目標は、①アジアの研究者・活動家のネットワーキング、②日本の情報を世界に発信する拠点作り、③自然科学を含んだジェンダー研究の発展です。CGSジャーナルの発行はこのような活動の中核を占めるものです。
国際ワークショップ2005コーディネーター: 生駒夏美【CGS NewsLetter 004掲載】
去る9月16日から18日、まだ夏の暑さが残る中、CGS主催による第二回国際ワークショップがICU構内にて開催されました。今年のサブテーマは「アジアにおけるジェンダー表象」。日本全国からはもちろん、中国、韓国、フィリピン、タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム、インドからの参加者が集まり、活発な議論を繰り広げました。3日間の会期中、私たちはジェンダー表象をさまざまな角度から取り上げることをめざしました。各企画へ多くの学生が参加、アカデミックなディスカッションの他に、フォーラム・シアターという聴衆参加型演劇の試みや、映画監督を招いての上映会とトークなども行いました。特に3日目の「アジアン・フィルム・ショーケース」では、日本、ベトナム、韓国、中国から5作品を上映し、三鷹市をはじめとする近隣都市より一般の方にも多くご来場いただくことができました。この企画だけでも総集客数は200名を超えました。アカデミックなだけの、大学内部で閉ざされたワークショップにしたくないというCGSの方針が実を結んだものと、感謝しております。ご来場・ご協力くださった方々に厚く御礼申し上げます。
ICU大学院 : 鈴木直美
【CGS NewsLetter 004掲載】
2005年5月27日(金)、ICUにて、学科間専攻のジェンダー・セクシュアリティ研究プログラム(PGSS)の発足を記念して、東京大学大学院人文社会系研究所教授上野千鶴子さんの講演会が行われた。タイトルは「ジェンダー/セクシュアリティ研究に何ができるか?」 田中かず子先生から「初心者からすでに勉強をしている人まで」満足させるような講演をという依頼があったということで、日本におけるジェンダー研究の成り立ちから、ジェンダーとは何かといったことまで、フェミニズムの理論をやさしく解説される形で講演は始まった。次いで、ネオ・リベラリズムの仕掛けるさまざまな罠を解説され、その中でジェンダー研究には何ができるかという核心に迫るとともに、セクシュアリティの領域における有意義なアドバイスまでいただくという内容豊富な二時間だった。
ICU学部生 : 津島祥
【CGS NewsLetter 004掲載】
2005年6月6日、ジェンダー・セクシュアリティ研究の基礎科目の授業の一環として、埼玉医科大学学長の山内俊雄さんが「性同一性障害を通して性を考える」と題した講演を行った。山内さんは、1996年に、埼玉医科大学倫理委員会で委員長として、性同一性障害を医学的な治療対象とする答申を発表し、その後も日本精神神経学会で診断・治療ガイドラインの策定にあたり、日本における性同一性障害の治療に大きな貢献をしてきた。性同一性障害とは、自分が男/女であるという自己意識が、身体の生物学的性と一致しない状態にある疾患である。
ICU学部生 : 金子活実
【CGS NewsLetter 004掲載】【ペーパー版と同一の文章を掲載】
2005年6月11・12日の2日間にわたって行われた日本女性学会年次大会の開会プログラムとして「フェミニズムと戦争―『銃後』から『前線』への女性の『進出』!?を踏まえて」と題したシンポジウムが横浜国立大学で開催された。
匿名
【CGS NewsLetter 004掲載】
2005年8月13日、東京レズビアン&ゲイパレード2005が3年ぶりに帰ってきた。会場である代々木公園イベント広場には午前中から多くの人がつめかけ、パレードのために仮装した人々や出店で非常に盛り上がっていた。パレードのプレ企画として行われたシンポジウム、「HIVのリアリティが変えるもの~HIVの予防とHIV陽性者の生きやすい社会について~」が行われ、年々増加していくHIV感染者の中での、ゲイ・バイセクシュアル男性間におけるHIV感染について、活発なディスカッションが行われた。
ICU学部生 : 清水雄大
【CGS NewsLetter 004掲載】【ペーパー版と同一の文章を掲載】
大阪府議である尾辻かな子さんが、8月に出版した著書『カミングアウト』の中で,自らがレズビアンであることを公表した。彼女は2003年の統一地方選挙で初当選した、大阪府議会で活動中の現役最年少議員。同性愛者であることを公言した議員は彼女が国内初であり、国内の政治でその存在を無視されている同性愛者たちにとってのインパクトは計り知れない。
首都大学大学院 : 大河原麻衣
【CGS NewsLetter 004掲載】
2005年7月、神戸にて第七回アジア・太平洋地域エイズ国際会議(7th International Congress on AIDS in Asia and the Pacific, 通称、神戸会議)が、タイのバンコクにて第一回アジア・クィア国際会議(1st International Conference of Asian Queer Studies, 通称、クィア学会)が開催された。神戸会議は7月1〜5日にかけて開催され、エイズに関わる研究者・NPO・当事者らが各国から集まり、様々な報告・講演・ワークショップなどが行われた。クィア学会は7月7〜9日にかけて開催され、クィア・スタディーズに関わるセクシュアリティ研究者・活動家らによる講演・研究報告がなされた。両会議とも、アジア圏におけるジェンダー・セクシュアリティ研究にとって欠かせない重要な意義をもつ会議であったといえる。
ICU大学院生 : 平野遼
【CGS NewsLetter 004掲載】【ペーパー版と同一の文章を掲載】
2005年6月19日から25日まで、韓国・ソウルの梨花女子大学において、第9回国際的学際女性会議「Women"s World 2005」が開催され、2300人強が参加した。1981年イスラエルのハイファで開催されたのを皮切りに、世界各地で3年に一度開かれてきたが、9回目において初めてアジアで開催が実現した。
ICU学部生 : 外山容子
【CGS NewsLetter 004掲載】
2005年9月18日、ICUで開催された「アジアン・フィルム・ショーケース」にてイ・ジョンファ監督作品「結婚の贈り物」が上映された。イ・ジョンファさんは梨花女子大学で物理学、同学院で教育工学を学び、卒業後はTVドキュメンタリーや子供番組の脚本家として活躍している。日本で結婚し、現在も日本で生活している。
明治大学法科大学院 : 名取克也
【CGS NewsLetter 004掲載】
『ジェンダー法学』という分野をご存知でしょうか。学問としての歴史はまだ浅く、2003年12月に「ジェンダー法学会」が発足したばかりです。そして、司法制度改革の一環として2004年度からスタートした法科大学院の一部には、ジェンダー法学を扱う科目が設置されました。
このコラムでは、法科大学院でジェンダー法学を学ぶ者として、ジェンダー法学や法科大学院に対して感じたことを書いていきます。特に、外部からはあまり見えない法科大学院とジェンダーの関係や、ジェンダー法学の授業内容などを扱います。
編・CGS編集部 著・小林成生(フィリピン在住)、吉成愛子(ICU卒業生)
【CGS News Letter004掲載】
2005年4月発行CGSニューズレター3号に掲載された吉成愛子さん(ICU卒業生)の記事『タイ・フィリピンの旅行産業と性産業』について、フィリピンに在住する小林武生さんからCGS編集部宛にメールが届いた。小林さんは、日本のフィリピンクラブの店長やフィリピン人芸能人プロダクション勤務を経て、現在フィリピンで生活している。吉成さんは、3週間訪れたフィリピンとタイにおける「旅行産業と性産業」の実情をCGSオンラインに掲載する記事としてまとめた。小林さんは、この記事の情報がフィリピンの一部に限定された偏った情報である点をあげ、性産業が栄えているという偏った情報は、フィリピンのマイナスイメージにつながると意見した。
二人の議論はフィリピンの現状についてさまざまな点から展開され、多くの情報が引き出された。吉成さんが第三世界における旅行産業の中に性産業が「経済的搾取」の構造で組み込まれてしまっていることに問題意識を置くのに対し、小林さんは、フィリピンで生活する側からみた現地の状況に焦点を当てている。立場の違いから若干の齟齬はみられるものの、往復した書簡からは結果的に多くを得た。編集部では小林さんと吉成さんの間を中継し、数回にわたる書簡のやり取りとその全文を、お二人の許可を得てCGSオンラインで公開する。