国際基督教大学ジェンダー研究センターとイギリス・ブリストル市役所がコーディネーターとなり進めてきた「日英LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)ユース・エクスチェンジ・プロジェクト」が、8月19日~30日の日程で開催されました。ワークショップや公開イベントの様子がNHK教育「ハートをつなごう」で二日間にわたって特集されます。
是非ご覧ください。
番組:「ハートをつなごう」(NHK教育)
特集:LGBT第1弾
日時:10月1日(水)、2日(木)午後8時~8時29分
(再放送 10月8日(水)、9日(木)午後1時20分~1時49分)
番組の詳細はNHKのホームページでご覧いただけます。

CGSニューズレター 010号が完成しました。CGSなどでペーパー版を配布しているほか、以下のURLより、pdf版がダウンロードできます。是非ご覧下さい。
昨年末から、未成年者を対象とする携帯電話フィルタリングを巡って政府や企業、第三者機関、更には国会と様々な動きがあるが、私にとってこのことは無関心ではいられない大きな問題である。性的マイノリティについての正しい情報の発信や交流のためのサイト、個人のブログまでもが、「有害」として一律フィルタリングの対象となる危険性を孕んでいるからだ。今ある偏見を助長し、同時に性的マイノリティの支えを奪ってしまう結果を生み出しかねないのである。
LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)を取り巻く環境は、ここ5年で大きく変化してきました。イギリスでは性的指向による差別を禁止する法律が制定され、同性パートナーにも結婚と同等の法的権利が認められるようになり、日本でもレズビアンを公言する議員があらわれ、さまざまなLGBTのグループ活動が活発化しています。一方でLGBTの/かもしれない若者たちにとっては、自分の性のありようを受け入れる助けとなるような情報や人との出会いが増えたかというと、そうではありません。むしろ、同性愛や性別規範を超えることに対する否定的な情報にさらされることが多く、LGBTである(かもしれない)自分をそのまま受け入れるのは依然として困難です。こういった否定的な情報と教育現場でのLGBTの若者に対する援助の欠如は、同性愛嫌悪、トランス嫌悪によるいじめの最大の温床ともなっています。日本でもイギリスでも多くのLGBTの若者がいじめの被害にあい、その中で自殺を考えたり、実際に試みるまでに追い詰められています。この生き難さにたいしては、当然なんらかの支援がなされるべきです。それと同時に、こういった困難に負けることなく、それぞれの場で偏見を理解に変えようと努力しているLGBTの若者たちも多くいます。若者に限らずすべてのLGBTの人たちが人権を保障され、生きやすい社会を作っていこうとする動きのなかで、こうした若者たちのイニシアティブ(進取性)の秘める大きな可能性を見過しにすることも出来ません。
自国でLGBT 当事者と出会うのにも苦労するのに、なぜ何千マイルも離れたLGBTユース同士が国境を越えて出会う必要があるのか。逆説的だが日英LGBTユース・エクスチェンジ・プロジェクトを行う理由はそこにある。このプロジェクトは、異性愛至上主義と性別に関する固定観念が、それらに合致しない人を阻害し差別するこの社会で、LGBTの若者達/そうかもしれないと思う若者達が居場所を確保し、仲間や自分自身について考える場を提供するものである。日本でもイギリスでも若年者はLGBT コミュニティーの中でもマイノリティとなりがちだし、誰にとっても大問題であるカミングアウトは、親に扶養されている若者には更に困難になりうる。
日本の高校に通っていたころ、ボクはクローゼットのゲイだった。「ゲイ」という言葉も知らなかったかもしれない。自分のセクシュアリティを受け入れてはいたけれど、カミングアウトしている人なんて一人も知らなかったから、友達や家族がどう反応するのか見当もつかなかった。もし十七でニュージーランドに行っていなかったら、果たしてカミングアウトすることができていただろうかと今でも時々考える。日本で。日本の高校で。……きっとできなかっただろう。
2008年4月23日、「ジェンダー研究へのアプローチ」の授業の一環として、スポーツ通訳者の石島コウタ氏による「日米間ジェンダー、文化・スポーツビジネス論」がCGSの主催で開催された。日本と米国で日本人メジャーリーガーを支援する仕事をなさってきた石島氏は、MtF(male to female)のトランスジェンダーである。講演では、女性・男性という性別の狭間、また米国と日本という文化の狭間を常に意識してきた氏のライフヒストリーを通して、性暴力サバイバー、結婚・こども、カミングアウト、日米スポーツマーケティング論といった幅広い分野が論じられた。
想像して欲しい。ある日あなたの家族から「実はレズビアン/ゲイ/バイセクシュアル/トランスジェンダー(LGBT)なんだ」とカミングアウトされたら、あなたはどう反応するか。ショック、困惑、怒り、否定、そして苦悩……。LGBTに関して今でも正しい知識を持たない人は多く、カミングアウトを受けた家族はただ驚き、苦悩し、時に拒絶してしまう。そんなLGBTの家族や友人をつなげる活動をしている団体がある。NPO法人「LGBTの家族と友人をつなぐ会」(以下、つなぐ会)である。関西のメンバーの清水尚美さん、関東のメンバーの小林良子さん、小林たけしさんにお話を伺った。