03. アジアからの最近のブログ記事


お茶の水女子大学 ジェンダー研究センター 客員研究員:菅野 琴
【CGS Newsletter017掲載記事/アジアからのニュース】

2014年は「国連持続可能な発展のための教育の10年」の最終年となります。ユネスコ・パリ本部での勤務、駐ネパールユネスコ代表、カトマンズ事務所長などの経験をお持ちで、発展途上国における女性の基礎教育に関する研究を重ねてこられた菅野琴先生にご寄稿頂きました。

フェミニスト・ビデオ・アクティビズムWOM(ウム)
【CGS Newsletter016掲載記事/アジアからのニュース】

フェミニスト・ビデオ・アクティビズムWOM(ウム)は、2001年以降、ドキュメンタリー映画製作やメディア教育、政策提案、映画供給などに、フェミニストの立場から取り組んできました。今回のニューズレターでは、2013年3月開催のYoRAPイベント「韓国ユース・レズビアンのつながりを撮る」での講演を収録します。(翻訳協力:伊庭みか子、須崎友紀)

健康と人口イニシアティブセンター所長、健康投資相談促進センター創設者 : クアット・チュ・ホン
インタビュアー CGS運営委員、ICU上級准教授:生駒夏美、CGS研究所助手:サマンサ・ランダオ
【CGS Newsletter015掲載記事・全文】

ICUでは2012年度秋学期、ベトナムよりホン先生を客員教授としてお迎えし、「ジェンダー研究特別講義」の授業をご担当頂きます。ホン先生ご自身や研究分野について、生駒夏美とサマンサ・ランダオがインタビューしました。

健康と人口イニシアティブセンター:ホァン・チュ・アン
【CGS Newsletter015掲載記事・全文】

ホン先生よりご紹介いただいたホァン・チュ・アン先生が、ベトナムのセクシュアルヘルス・リプロダクティブヘルスの最新情報をお寄せくださいました。ホン先生のバックグラウンドともなる同国の状況をご紹介頂いています。

中華人民共和国からの留学生
【CGS Newsletter014掲載記事】【ペーパー版と同一の文章を掲載】
 2011年4月3日から4日にかけ、中華人民共和国・上海の外灘地区で営業していたQ Barというゲイバーに公安が押し入り、客と従業員合わせて60人以上を半日前後拘留した。拘留された人々は、食料や飲み物、毛布などを与えられることなく小東門警察署にて拘留されたという。拘留が行われた理由として、公安は「セックスショー」がバーで行われていたからとしているが、実際にはそのような事実はなかったと多数の被拘留者は述べている。
 なぜ、このような行為が行われてしまったのだろうか。考えられる理由がいくつか挙げられる。まず一つ目に、中華人民共和国に蔓延するホモフォビア(同性愛嫌悪)が挙げられるだろう。中華人民共和国では、1997年になりソドミー行為が合法化され、また2001年に精神疾患リストから同性愛が除外された。しかし、現在もなお、地域やコミュニティーのなかで、同性愛者、ひいては性的少数者に対しては、差別的な視線が向けられている。また、若い世代の間では、徐々に性的少数者に対しての差別視というものは薄れてきている反面、親世代などを含む社会全体は、未だ根強い差別意識を持っているということを、私自身も肌で感じてきた。
 二つ目の理由として、中華人民共和国の政治の性質が挙げられる。中華人民共和国の民主活動家が多数拘束、逮捕されている昨今の状况を鑑みてもわかるであろうが、政府にとって政治的不安定を招くと判断された中華人民共和国国民は、その政治的主張や社会的な位置を吟味されることなく、その自由が制限されてしまうことが往々にしてある。その明確な証拠として、今回の事件でも、中華人民共和国の法律では勾留できる対象は同国国民に限られるという事情もあるものの、バーにいた外国籍の客は拘留されることなく、中国籍の客と従業員が拘留されたことが挙げられるであろう。また、一つ目の理由として挙げたホモフォビアと重なるかもしれないが、2007年にも起こった上海のゲイバーへの大規模な手入れがあったことや、2005年に北京で「北京同性愛文化節」と銘打たれたイベントが、開催直前で公安による介入で中止させられたという事例もある。そして、2009年からLGBTの権利を主張する上海プライドウィークが企画・開催されているが、その中のコンテンツが急遽中止を求められたり、パレードを行うことができなかったりと、LGBTの権利拡大を求める行動は(市・省)政府の意向にそぐわない行為とみなされれば、抑圧されることがあるのだ。このように、LGBTをめぐる状况というものは、政治的、そして中華人民共和国独自の文化的・歴史的文脈など複雑な関係が入り乱れて形成されている。そのような事情があるため、今回ここで提示した理由は、全ての理由をもちろん含んでいないし、北京を含む中華人民共和国の各都市や、台湾や香港とは違うであろう。ここには留意しておいていただきたい。最後に、中華人民共和国を含む世界のLGBTがその性的指向を原因として差別されない世界が築かれることを希望して終わりとしたい。

大学院生: 川坂和義
【CGS Newsletter013掲載記事】【ペーパー版と同一の文章を掲載】

 2010 年2 月22 日、東京大学で「東アジアにおけるクィア・スタディーズの可能性」と題された公開シンポジウムが行われた。このシンポジウムでは、朱偉誠さんが台湾におけるクィア・スタディーズ( 以下、QS) の受容と発展について、眷芝珊さんが香港におけるクィア・アクティビズムの歴史と現在について講演した。ここでは紙幅の関係上、筆者が朱の発表から示唆をうけた点にのみ言及する。

CGS 運営委員/ 国際基督教大学准教授: 森木美恵
【CGS Newsletter013掲載記事】【ペーパー版と同一の文章を掲載】

 2010年1月28日・29日にタイの首都バンコクにおいて、"Women's Health, Well-Being between Culture and the Law"と題した国際会議が開催された。この会議は、長年にわたりWomen's Studies の分野で活躍されてきたアジア各国の研究者およびNGO関係者が中心となり企画運営されたもので、2009年春学期に特任教授としてICUでも教鞭をとられたタイ国タマサート大学のChalidaporn Songsamphan教授もその中心メンバーの一人であった。私はChalidaporn先生とのつながりからこの会議のことを偶然知ったのであるが、計8カ国のアジアの国々より様々な専門分野の方々が参加し、「新参者」研究者としては、研究・活動分野の軌跡を知り、そしてその発展マップ上に自分の研究がどの様に位置し得るのかを考える上で、有意義な経験となった。会議の開催目的の一つが、関係者相互のネットワークを強め、女性の健康とウェル・ビーイングについて多角的に検討する手立てとすることであった。実際に、この会議の運営委員を中心としてAsian Association of Women's Studies という団体も最近設立されており、今回の会議は分野全体としても、「今まで」と「これから」を結ぶ良い基点となったのではないだろうか。

北京師範大学、教育学院:林玲【CGS NewsLetter 006関連記事】

出会い:興味
 指導教官である鄭新蓉教授からご指導いただくまで、私は彼女がフェミニストであることを知らなかった。その後も、彼女とフェミニズムとの関わりが、私にそれほどの影響を与えるとは思ってもいなかった。しかし現在、私は指導教官と同じ分野に強く興味を持ち、彼女同様、フェミニストとなった。

元CAWコーディネータ:メーベル・オウ【CGS NewsLetter 006掲載記事】

アジア諸国における女性労働者団体
・序論
 歴史的に見ると、工業化の過程と同時に労働運動が大幅に発展した事が分かる。不平等な労働環境を是正するため、労働運動は恒常的な闘いによって発展した。自分の権利を守るため、アジア地域の女性達も同様に闘い、強くなってきた。特に第二次大戦後、女性はアジア地域の工業化に深く関わっていった。しかしながら、女性労働者団体が協力して大きな力を発揮していくには、様々な障害があった。
 本論文では、アジア地域における女性の現状と、女性団体が直面する困難を記していきたい。さらに、女性労働者へのグローバリゼーションの影響を描いていきたい。そして、労働運動を強めるためには、特にこれまで組織される事のなかった女性労働者の組織化が必要不可欠であると証明したい。

マレーシア国民大学 : ラシーラ・ラムリー
【CGS News Letter005掲載】【ペーパー版と同一の文章を掲載】

2003年7月に設立されたジェンダーリサーチセンター(CGR)、マレー名Pusat Penyelidikan Gender(PRG)はマレーシア国立ケバングサン大学(UKM)社会人文科学科に所属する研究機関である。ジェンダー研究における国家および地域調査研究機関として、CGRはマレーシアおよび東南アジア全域に住む人々のQOL向上への貢献が見込まれる関係諸分野においての知識および経験の集積に寄与することが使命であり、UKM内外の研究者に分野横断的ネットワーク形成の場を提供することを目標としている。

ICU学部 : 金子活実
【CGS News Letter005掲載】【ペーパー版と同一の文章を掲載】

 2006年1月7日、お茶の水女子大学にて「アジア認識とジェンダー」研究会シンポジウム「東アジアの『戦後』60年:軍事化とセクシュアリティ」が開催された。北朝鮮を脅威としながらナショナリズムが台頭する東アジアの軍事化と、ジェンダー・セクシュアリティとの関連について、韓国、日本、中国の現状から興味深い報告があった。基調報告で講演した権仁淑さん(明知大学校、韓国)は「韓国の軍事化とマスキュリニティ」と題し、50年代から70年代における韓国で、経済的、軍事的に強い国家を構築するために、女性性と男性性がどのように規定されていったかを報告した。

首都大学大学院 : 大河原麻衣
【CGS NewsLetter 004掲載】

 2005年7月、神戸にて第七回アジア・太平洋地域エイズ国際会議(7th International Congress on AIDS in Asia and the Pacific, 通称、神戸会議)が、タイのバンコクにて第一回アジア・クィア国際会議(1st International Conference of Asian Queer Studies, 通称、クィア学会)が開催された。神戸会議は7月1〜5日にかけて開催され、エイズに関わる研究者・NPO・当事者らが各国から集まり、様々な報告・講演・ワークショップなどが行われた。クィア学会は7月7〜9日にかけて開催され、クィア・スタディーズに関わるセクシュアリティ研究者・活動家らによる講演・研究報告がなされた。両会議とも、アジア圏におけるジェンダー・セクシュアリティ研究にとって欠かせない重要な意義をもつ会議であったといえる。

ICU大学院生 : 平野遼
【CGS NewsLetter 004掲載】【ペーパー版と同一の文章を掲載】

 2005年6月19日から25日まで、韓国・ソウルの梨花女子大学において、第9回国際的学際女性会議「Women"s World 2005」が開催され、2300人強が参加した。1981年イスラエルのハイファで開催されたのを皮切りに、世界各地で3年に一度開かれてきたが、9回目において初めてアジアで開催が実現した。

編・CGS編集部 著・小林成生(フィリピン在住)、吉成愛子(ICU卒業生)
【CGS News Letter004掲載】

 2005年4月発行CGSニューズレター3号に掲載された吉成愛子さん(ICU卒業生)の記事『タイ・フィリピンの旅行産業と性産業』について、フィリピンに在住する小林武生さんからCGS編集部宛にメールが届いた。小林さんは、日本のフィリピンクラブの店長やフィリピン人芸能人プロダクション勤務を経て、現在フィリピンで生活している。吉成さんは、3週間訪れたフィリピンとタイにおける「旅行産業と性産業」の実情をCGSオンラインに掲載する記事としてまとめた。小林さんは、この記事の情報がフィリピンの一部に限定された偏った情報である点をあげ、性産業が栄えているという偏った情報は、フィリピンのマイナスイメージにつながると意見した。

 二人の議論はフィリピンの現状についてさまざまな点から展開され、多くの情報が引き出された。吉成さんが第三世界における旅行産業の中に性産業が「経済的搾取」の構造で組み込まれてしまっていることに問題意識を置くのに対し、小林さんは、フィリピンで生活する側からみた現地の状況に焦点を当てている。立場の違いから若干の齟齬はみられるものの、往復した書簡からは結果的に多くを得た。編集部では小林さんと吉成さんの間を中継し、数回にわたる書簡のやり取りとその全文を、お二人の許可を得てCGSオンラインで公開する。

ICU卒業生 : 吉成愛子
【CGS News Letter003掲載】

 卒業論文の中で「性産業と旅行産業」の関係を取り上げたが、論文を提出したあと実際に現状を見たいという思いに駆られ、フィリピンとタイの実情を約3週間かけて見てきた。アンへレス(フィリピン)のバリバゴ地区では英語や日本語の看板が溢れ、バンコク(タイ)のタニヤ通りは銀座や歌舞伎町をそのまま持ってきたような通りであった。まさに外国人を客層とした性産業がそこにはあった。法律上、性産業で働ける最低年齢は18歳となっているが、18歳と答える子の中にはもっと幼く見える子もいた。出生証明制度の整っていない田舎から来た子は年齢をいくらでも偽れる。店も客も若い子を求めているのだ。バーに30分いただけで3人の女の子からレディースドリンク(彼女たちの収入源)を「おねだり」された。注文さえすれば基本的に触り放題である。富を持つ人が貧しい人にお金を援助し、その代わりに性的サービスを受けるという「援助交際」が産業として確立してしまっているのである。

ICU大学院 : 朱恵文
【CGS News Letter003掲載】

 日本で酒井順子著『負け犬の遠吠え』というエッセイがベストセラーになり、「負け犬」という「未婚、子ナシ、三十代以上の女性」を指す言葉が流行したのをきっかけに、「負け犬論争」が盛んに行われている。それとほとんど同じ時期に、隣の中国では、「中国式離婚」というドラマが大きな反響を呼び、「夫婦関係」や「妻のあり方」といった「勝ち犬」の話をめぐって議論が行われていた。

ICUアジア文化研究所 : カマヤニ・シン【CGS News Letter002掲載】

 今日、あらゆる方面において近代化が進み、女性の果たす役割が高まっているにも関わらず、花嫁が花婿へ持参金や家財道具を贈るダウリーと呼ばれる慣習は、インド全域で一般化しており、その重要度がますます高まると共に費やされる金額の値も上昇している。花嫁の家族が所来の花婿の家族の両旧に見合う充分なダウリーを支度できない場合には、花嫁は花婿の家族から冷酷な扱いを受け、死に追いやられる事も多い。特に、インドのいくつかの地域、及び共同体においては、女児の誕生は招かれざるものであり、呪いとすらみなされる事もある。このような状況を引き起こした要因の一つしてダウリーはあげられる。ダウリー制度が女性の地位を下げる原因となっていることから、女性は全力をもってこの制度に抵抗すべきである。たとえ両親がより高い社会的地位をもつ男性を花婿にと追い求めていても、女性自身が身らからの地位を向上させなければならない。そうすれば、男性は「結婚してくれ」と懇願しながら、こちらへ駆け寄ってくるようになるだろう。

ICU在学生 : 中島聡
【CGS News Letter002掲載】

「軍隊に行って国に貢献しなければ男じゃない」昨年、韓国ソウルにある梨花女子大学に留学中、韓国人の友人の母親に言われた言葉だ。梨大(イデ)は、その名のとおり、女子大であるが、大学の交換留学プログラムを利用すれば男性も通うことができる。留学してから数ヶ月が経ち、韓国と日本では似た面が多くあると感じていときのことだった。たとえば、言語に関しても、語順は同じだし、「は」「が」「を」「も」などの助詞の使い方も同じである。しかし、男らしさの概念に関しては日本と韓国では大きく違うようだ。では、この男らしさの違いは、何からくるのか?

シリマン大学 : ポール・リッチ・J・ロマノ
【CGS News Letter002掲載】

 ゲイであることは、単に性同一性障害(GID)であることではありません。そうであると自分は信じています。ゲイであることは、自然、超自然の仮説の限度を超えています。ゲイであることは、選択されません。あなたがゲイであるような気がするときに、あなたはゲイであるということを知るのです。

月別 アーカイブ